第零話 炎の覚醒その五
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「何かね。お兄ちゃんっていつもね」
「いい加減だっていうのか?」
「っていうか本当に無駄なカロリー使おうとしないわね」
「いざって時の為に節約してんだよ」
妹に対してもだ。言葉は同じだった。
「そうしてるんだよ」
「そういうのを世間ではね」
「ものぐさっていうんだな」
「そうよ。まさにそれよ」
トーストを食べ続けながら話す。
「それ以外の何者でもないじゃない」
「何か俺いつもそう言われるな」
「言うわよ。実際にそうだから」
それでだというのだ。
「まあ起こしてくれたのはね」
「感謝しろよ」
「有り難う」
御礼自体はあっさりと述べた。そうしてだった。
トーストの次はベーコンエッグを食べてだ。彼女は言った。
「とにかく。これ食べて歯を磨いてね」
「それで顔を洗ってだな」
「シャンプーもしてよ」
父に応えて話す。
「それから学校に行くわ」
「色々とやることがあるんだな」
「女の子はそうなのよ」
こう父にも話すのだった。
「それで朝の部活の後でね」
「御化粧もよね」
「それもしないといけないから」
今度は母に応えての言葉だ。
「本当に色々としないとね」
「朝練の後でシャワーを浴びたらどうだ?」
兄が妹にこんなことを提案した。
「それならすっきりするだろ」
「それも悪くないけれど」
だがだ。それでもだというのだ。
「そこまではね」
「しないのか」
「夕方の部活の後はすぐに帰ってお風呂だし」
これが美和子の日課だ。風呂も毎日なのだ。
「朝はシャンプーだけで充分よ」
「家でやるそれだけか」
「朝練はそんなに汗かかないし」
そうした事情故にだ。部活の前のシャンプーだけで充分だというのだ。
「だからね」
「俺はまあ。あれだけれどな」
「御風呂は一日を終えてよね」
「ああ、それだよ」
中田の風呂はそうしたものだった。
「やっぱりそれがいいだろ」
「まあ私はそれだとね」
「気持ち悪いか?」
「だからなのよ」
それでだとだ。美和子は話すのだった。
「朝起きたらね」
「シャンプーなんだな」
「朝からシャンプーの匂いさせてる女の子っていいじゃない」
「いいか?」
「清潔な感じでね」
自分で言う美和子だった。
「いい感じじゃない」
「そうか?俺は別にな」
「そういう鈍感なのが駄目なのよ」
今度は目を怒らせて言う美和子だった。
「全くね。そんなのだからね」
「何だってんだよ」
「彼女できないのよ」
少し意地の悪い笑顔になっての兄への言葉だった。
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