第七十四話 都の東でその六
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布陣もしていた。それを見てだ。三人衆は狼狽して言うのだった。
「しかも数が多いのう」
「優に六万を超えておるぞ」
「六万五千はおるぞ」
織田の青い具足や旗を見ての話だった。
「それに対してわれらは松永がこちらに呼んでおる五千の兵も含めて二万五千」
「二倍以上の開きがあるぞ」
「ここで攻められればそれこそじゃ」
彼等は言っていく。そしてだった。
そのうえでだ。今度はだ。彼等の話をするのだった。
「それにじゃ。松永めじゃが」
「ちゃんと来ておるぞ」
「いや、来るのは当然じゃ」
それはだと述べ合う彼等だった。
「問題はあの者がどう動くかじゃな」
「何時裏切るかわからぬしのう」
「そこがじゃな」
問題だと言い合うことになった。それでだ。
それに加えてだった。彼等はだ。松永の軍勢、後ろにいる彼等を見てだった。
「今は米粒の様じゃがな」
「さて、何時牙を剥くか」
「油断できぬぞ」
「それにじゃ」
一人が他の二人に述べた。
「只でさえわし等は劣勢じゃしのう」
「あ奴、まことにどう動くか」
「厄介な奴が来おったわ」
完全にだ。松永を敵と見なしている言葉だった。ある意味においてだ。
そしてそのうえでだ。彼等は大急ぎでだ。
鴨川に西側に来た。慌しく来たので飯も食わず身支度も整えていない。乱れが見られる。その彼等を対岸から見つつだ。信長は生駒に言うのだった。
「ではじゃ」
「はい、これからです」
「兵を動かすとするか」
「それではまずはです」
生駒がここで言った。
「その騎馬隊をです」
「対岸に行かせるのじゃな」
「浅瀬は既に見つけてあります」
騎馬隊が渡るだ、そこはもうだというのだ。
そしてだ。さらにだった。
彼は信長にだ。このことも述べた。
「では。後は手筈通り」
「うむ、適をここにおびき出してじゃな」
「一気に倒しましょう」
「ではじゃ」
生駒との話を終えてだ。信長は。
すぐに蒲生が率いる騎馬隊にだ。こう命じたのだった。
「では忠三郎に伝えよ」
「はい、今からですね」
「手筈通りに」
「動く様にと」
「そう伝えよ」
こうしてだ。その騎馬隊に信長の伝令が伝えた。それを聞きだ。
見事な馬に乗るだ。長身で引き締まった顔立ち、そして強い目の若者がだ。こう答えたのである。
「ではじゃ」
「はい、ご出陣をお願いします」
「畏まった。では殿にお伝えしてくれ」
その彼も言う。
「この蒲生氏郷今よりその務めを果たすとな」
「では今よりですか」
「そうされますか」
「殿にも伝えて欲しい」
その彼がだ。敵陣も見据えながら言ったのである。
「このことはな」
「畏まりました」
「だが」
しかしだとだ。ここでこうも言う蒲生だ
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