第七十四話 都の東でその五
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「してじゃ。どうじゃ」
「その陽動の騎兵を率いる者ですか」
「そうじゃ。あえてあの者にしたのじゃがな」
「それがしは美濃四人衆の方は久助殿と思ったのですが」
「あの者達なら確かに妥当じゃな」
「はい、それでそう思ったのですが」
「しかしあえてあ奴にした」
こう言うのだった。その楽しげな笑みでだ。
「ここはじゃ」
「あえてですか」
「あ奴はやる」
鋭い目で断言しての言葉だった。
「必ずじゃ」
「しかし。織田家では初陣ですが」
生駒が言うのはこのことだった。怪訝な顔で信長に対して述べるのである。
「それでもですか」
「初陣でもそれに相応しい者なら使う」
信長の信条がここでも出た。有能ならばそれで重く用いるというだ。その信条がだ。
そのうえでだ。彼はさらに言った。
「して鉄砲隊の一隊もじゃ」
「あの御仁にですか」
「そうじゃ。そうしたのじゃ」
鉄砲隊についてもだ。そうだというのだ。
「それに相応しいからじゃ」
「明智殿ですが」
ここでだ。生駒はまた言った。
「あの御仁はそこまでの方ですか」
「うむ、わしはそう見る」
「そして蒲生家のですか」
「あ奴もそれに相応しいからじゃ」
「ううむ、左様ですか」
「それであ奴にしたのじゃ」
「蒲生氏郷殿にですか」
「忠三郎じゃったな」
その蒲生氏郷の幼名をだ。信長は早速口にした。
「これからはそう呼ぶことにする」
「もう早速とは」
「まあ見ておれ。あ奴はやる」
確かな声で言うのだった。
「この戦で功を挙げるぞ」
「それを既に読んでおられるからですか」
「やれぬ者なら最初から命じぬ」
これも信長の信条だ。彼はその者がその務をやれるかどうか見極めてそのうえで命じるのだ。そうした人を見る目については確かな自信も備えているのだ。
それ故にだ。今こう言うこともできたのである。
「そういうことじゃ」
「そして明智殿にも」
「十兵衛じゃな」
明智についてはこう呼ぶ信長だった。
「あの者もできればじゃ」
「織田家にですか」
「完全に入れたいところじゃな」
「確かに。明智殿は戦はまだわかりませぬが」
それでもだ。生駒も彼がわかったことを言うのだった。それはというと。
「その教養は見事ですな」
「その教養だけでも買えるじゃろう」
「はい、確かに」
「幕府から織田家の家臣に召抱えたいがのう」
「ではやがてはお声を」
「かけようかと思っておるがな」
幕府から織田家の引き抜きになる。信長はそれも考えていた。
しかしそれについてはだ。今はだ。
とりあえず置いておいてだ。こう生駒に述べたのだった。
「ではじゃ。そろそろ敵が来るな」
「はい、もうそろそろかと」
「敵はわし等が既にここにおるのも見て焦
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