暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第七十四話 都の東でその四
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 その川を細い棒で指し示しながらだ。彼は信長に話すのだった。他の家臣達もそれを見ている。
「敵は都を出ました」
「そしてじゃな」
「はい、鴨川の東岸に向かっております」
「ではここでじゃな」
「はい、まずは川を渡らせないことです」
 まずはそこからだというのだ。そしてだ。
 そのうえでだ。また言うのだった。
「今はです」
「今はじゃな」
「はい、今はです」
 信長に対してもだ。彼は言ったのである。
「渡らせてはなりません」
「今はじゃな」
「我等は川の東側に布陣します」
 続いてだ。織田家の陣を何処に置くかというのだった。
 それはそこだというのだ。川の東側だというのだ。
「そこに布陣すれば敵は迂闊に川を渡れません」
「しかしじゃな」
「はい、我等はです」
 どうかとだ。織田軍はだというのだ。
「兵の一部を渡らせます」
「ふむ。そうしてじゃな」
「陽動を仕掛けます」
 その為に川を渡らせるというのだ。軍の一部をだ。
 このことを渡らせてだった。そしてなのだった。
 生駒は次の策としてだ。こう信長に述べた。
「そうして敵に川を渡らせてです」
「ほほう、そのうえでか」
「はい、川を渡るとなると」
 それによってだともだ。生駒は話す。
「身体が冷えますが」
「それも狙いか」
「左様です」
 まさにそうだというのだった。
「敵の身体を冷えさせます」
「そこまで考えておるか」
「万全を期して攻めるべきですから」
 それ故にだと述べてだ。生駒はその目を光らせた。
 そしてだった。また言う彼だった。
「ただ、大事なのはです」
「こちらの川を渡らせる兵達にじゃな」
「はい、川の東側に置く兵達の装備ですが」
「川を渡らせる兵達は騎馬じゃな」
 信長から言った。このことをだ。
「そしてじゃな」
「はい、そして東側の兵達は鉄砲に弓です」
 その二つを備えてだというのだ。生駒もこのことを述べる。そしてなのだった。
 生駒はここまで話してからだ。また言うのだった。
「それで戦いましょう」
「では今よりじゃな」
 こうしてだった。彼等はだ。
 鴨川の東側に向かう。そしてだった。
 三好の軍勢を待つ。彼等より先に来たのだった。
 その誰もいない鴨川の西側を見る。そのうえで言うのは可児だった。
 こうだ。拍子抜けした様に言ったのだった。
「何じゃ、まだ来ておらぬのか」
「ははは、これもじゃな」
 信長もその西側を見る。そうしてだ。
 今は己の傍らにいる生駒にだ。こう問うたのである。
「読み通りじゃな」
「はい、そうです」
 その通りだと答える生駒だった。彼も川の向こう側を見ている。
 そのうえでだ。信長に言うのである。
「我等が咲きに来ていることは既に敵も知っ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ