暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第三十六話 中田との戦いその五
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「だからなのよ」
「ううん、じゃあコーラとかは」
「サイダーもですか」
「あることはあっても」
「それでもですか」
「あまり、なんですね」
「そう。あまり飲まないの」
 ギリシアでは炭酸飲料はあまり飲まないというのだ。日本程。
「私だけかも知れないけれどね」
「それでお酒はワインですよね」
「それになりますよね」
「そう。昔からね」
 酒はそれになった。古代、神話の時代からのことだった。
「飲んでるわよ。ただ昔のワインと今のワインじゃね」
「違うんですか」
「やっぱり」
「ええ、違うわ」
 聡美は二人に今度はワインのことを話した。ジンジャーエールを飲みながら。
「随分ね。昔のワインはね」
「どんなのだったんですか?」
「味とかは」
「まず。コルクとかがなかったから」
 これが発明されるのはずっと後になってのことだった。つまりワインは密封されて保存されていなかったのだ。そうしたワインがどういったものかというと。
「酸っぱかったわ」
「あっ、ワインが空気に触れてですか」
「それでなんですね」
「そうなの。新しく造られたワインは違うけれど」
 日が経ってだ。すぐにそうなったというのだ。
「それで。その酸っぱいワインをね」
「どうしたんですか?」
「何かある感じですけれど」
「お水とか海水で割って飲んでいたのよ」
 それが古代ギリシアでのワインの飲み方だというのだ。
「そこが違ったのよ」
「へえ。お水で割ってですか」
「そうしてワインを飲んでいたんですか」
「それが古代ギリシアのワインの飲み方ですか」
「そうだったんですか」
「ワインが貴重だったからそうして飲んでいたけれど」
 だがそれでもだとだ。聡美は言うのだった。
「次第にそれがマナーになったの」
「じゃあワインをストレートで飲むのは」
「それは」
「そう。当時はマナー違反とされていたのよ」
 聡美は当時のことをだ。その目で見たかの様に二人に話した。
「それはローマ帝国でもかなり後になってからもだったのよ」
「随分違ったんですか」
「そこは」
「そうなの。本当にね」
 聡美は二人にワインの飲み方、古代のそれを話していく。それはギリシアだけではなかった。
「それで古代はこうした飲み物はね」
「あっ、そうですよね」
「お茶もでしたね」
「お茶は中国でもとても高価なものだったのよ」
 それこそ皇帝やそうした高貴な者達が飲むものだった。
「今上城君が飲んでいる烏龍茶みたいなお茶も」
「じゃあ私が飲んでいる紅茶は」
 樹里はそれだった。ミルクティーだ。
「これもですか」
「ええ、それもね」
「高価だったんですね」
「お茶自体が古代ギリシアにはなかったのよ」
 この事情もだ。聡美は二人に話した。

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ