第七十三話 近江掌握その四
[8]前話 [2]次話
「どうやらのう」
「まあ信じる信じないは別にしまして」
「好き嫌いもじゃな」
「ええ、ただそれでもです」
「あやかしはおるか」
「わし等は連中といつも戦ってきましたから」
それでだ。わかると返す煉獄だった。
「そういうことで」
「あやかしのう。まさかと思うが」
「あやかしっていってもです」
「鬼や天狗か」
「いえ、黒い服を着た」
「そうした連中でしょうか」
二人はだ。ここでこんなことを言った。
「その連中が一番厄介で」
「何かよくわからない者達です」
「黒い服?」
「服はその都度変わる感じですが」
「基本はそれです」
「黒?上杉か?」
蜂須賀はまずは彼等を連想した。
「飛騨にも来ておるのか」
「いや、これがですね」
どうかとだ。煉獄は話すのだった。
「違う感じでして」
「上杉の手の者ではないのか」
「どうも違いますね」
「確か日本にはです」
今度はヨハネスが言ってきた。
「山の民という者達がいますね」
「あの者達か」
「はい、小六殿は御存知ですか」
「何度か会ったこともある」
「そうなのですか」
「山の奥におる。変わった者達じゃ」
こうだ。彼等のことを話すのだった。
「言葉も暮らしも全く違うしのう」
「私達は彼等ともよく付き合っていますが」
「その山の民達ともか」
「どうも違います」
「だからあやかしというのじゃな」
「はい」
それでだと答えるヨハネスだった。
「そう見ています」
「左様か」
「はい、飛騨ではそうした者達と戦っていました」
「ふむ。御主達も色々あったののじゃな」
「そしてその戦の中で」
どうかとだ。ヨハネスはだ。
ここでも剣を振るいだ。六角の兵達を倒していきだ。遂にだった。
彼が最初に門のところに来た。そしてその次にだ。
煉獄も来た。彼が門の右、ヨハネスが左についた。
それからだ。彼等は蜂須賀に言ったのである。
「では今より」
「門を開けるんですね!」
「そうじゃ。開けよ!」
まさにそうせよとだ。蜂須賀も応える。
彼も今まさに門のところに着こうとしていた。その彼を見つつ。
二人は一斉に門を開けた。それを見てだった。
柴田は櫓への射撃を止めてだ。即座に己が率いる兵達に命じた。
「今じゃ、門に入れ!」
「はい、それでは!」
「すぐに!」
「そのまま城に雪崩れ込むのじゃ!」
簡潔で尚且つ的確だった。その指示を出してだ。
柴田も自ら門に向かって突き進む。そうしてだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ