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戦国異伝
第七十三話 近江掌握その一
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ら鬼と言われてもです」
「特に難儀に思うことはないか」
「そう思います」
「だといいのじゃがな」
「いやいや、権六殿の説教たるやです」
 ここで出て来たのは慶次だった。いつもの様にその大柄な身体を妙にひょうきんに動かしてだ。そしてそのうえで柴田に対して話をしてきたのである。
「まさにまず拳から」
「また御主か」
「しかし大抵はそこで終わります」
「どれだけ怒っても拳一発で終わらせるべきじゃ」
 口での説教もあるがだ。それでも柴田は確かにそれで終わらせる男だ。
 だからだ。慶次も笑顔で言うのである。
「あっさりとした方でございます」
「平手殿の様に口煩くともじゃ」
 また言う蜂須賀だった。彼は慶次と共に出て来ている。
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