第七十二話 六角との戦その九
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信長は竹中にだ。あらためて問うたのだった。
「権六をここで使うのはじゃ」
「そのことですか」
「そうじゃ。権六は我が家で随一の攻め上手じゃ」
このことには定評がある。だからこそ信長は彼を常に先陣に命じているのだ。
その柴田も見つつだ。信長は竹中に問うのである。
「それ故にここでか」
「はい、そして城壁はです」
「小六とじゃな」
「それと飛騨者です」
この者達の名も出た。
「あの者達ならば必ず登れます」
「ただ。城壁を登り城の中に入るだけではじゃな」
「櫓とそこにいる兵達に阻まれます」
櫓と城壁は歯と唇だった。城の護りにおいてだ。
その歯と唇をだ。同時に潰すのが竹中の考えだった。そしてそれを実際になのだった。
竹中は潰しそのうえでだ。この観音寺城を攻め滅ぼすというのだ。
今この考えをだ。信長達に話したのである。
「これで必ずです」
「観音寺城を攻め落とせるな」
「はい」
確信を以て答える竹中だった。かくしてだ。
裏門への攻勢から観音寺城を攻め落としにかかった。その動きを見ていってだ。
それまで沈黙していた信行が唸った。その唸り声を聞いてだ。
信長は彼に顔を向けてだ。そのうえで弟に対して言ったのである。
「かなり学ぶところがあるな」
「はい、それがしは戦は得意ではありませぬが」
「それでもじゃな」
「はい、これが戦ですか」
「そういうことじゃ。御主はこれからわしの名代として戦の指揮にあたることもある」
「だからこそですね」
「戦のことも知っておくことじゃ」
文や政だけではなくだ。このこともだというのだ。
「よいな。不得手も不得手なりにじゃ」
「戦を知っておくことですか」
「知っておれば不得手でも家臣に任せるなりができる」
それができるからだというのだ。学べというのだ。
「兵法の書だけでは学べることも限られておるわ」
「確かに。これはかなり」
「御主が経てきた戦はまだ小さかった」
尾張での戦はだ。まだそうだったというのだ。
「じゃが織田家の戦はこれからより大きなものになる」
「だからこそそれがしを連れて来てくれたのですか」
「主は政じゃがな」
これが第一だった。都に入らせるのも都を知り彼の政にさらに幅と深みを持たせる為だったのだ。
そのことをだ。信長が言うのだった。
「政があり戦があるからのう」
「兄上がいつも仰っていることですね」
「そうじゃ。しかしその戦もよく知っておくことじゃ」
「畏まりました。それでは」
「この観音寺の城を陥としただけではない」
それで終わりではないというのだ。
「この出陣でわしは都に近畿も押さえる」
「では都でも他の国でも」
「戦をする。ではその戦を見ておくのじゃ」
「そしてこれからに活かせ
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