第三十四話 戦闘狂その八
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「その人達にも何もしませんので。それは間違っています」
「それは教師としてですか?」
「いえ、それ以上に人間としてです」
そうするとだ。高代は毅然とした声で今度は樹里に答えた。
「私はそうしますので」
「戦うとすればあくまで僕だけですか」
「そうです。何があろうともそうします」
また言ったのだった。上城達に対して。
「これは上城君達だけでなく他の剣士達に対してもです」
「どなたにもですか」
「同じです」84
「中田さんや広瀬さんも」
「戦い、戦争もそうですが避けられない場合もあります」
高代は言いながら日露戦争や第二次世界大戦のことを考えていた。どちらも日本の全てを賭けた戦争だった。勝敗の結果は置いておいて避けられない戦いだったというのだ。日本にとって。
「それでも。関係のない人を巻き込むことは」
「あってはならないんですね」
「それをする位ならです」
断固とした口調になってだ。高代は言い切った。
「私は戦いません」
「目的の為には」
「はい、絶対に」
こう言うのだった。
「その考えです」
「そうなのですか」
「このことも申し上げています。そして」
「そして?」
「上城君が剣を持っていない場合もです」
その場合もだというのだ。その時もまた。
「私は剣を向けません。そしてそこに誰かが襲って来たら」
「その時はですか」
「私は上城君達を護りますので」
「けれど僕は先生とは剣士としては敵同士ですけれど」
「そういう問題ではないです」
「違うんですか」
「そうです。私の相手は怪物か剣を持っている剣士です」
剣士でもだ。剣を持っていなければだというのだ。
「それは私の相手ではありません」
「じゃあ僕が戦う意志がないと」
「戦いを離脱されるのなら私にとっても好都合ですから」
それならだというのだ。
「どうぞと申し上げます」
「そして僕が剣を持って先生の前に出た時に」
「私は戦います」
「そうですか」
「実は。最初は剣士なら剣を持っていなくとも」
それでもだというのだ。当初の彼の考えは。
「戦うつもりでした」
「そういえばそんなことを仰っていましたね」
「しかし変わりました」
「そうしたお考えにですか」
「はい、変わりました」
そうだというのだ。高代も考えが変わったというのだ。
「それもまた」
「どうして変わったんですか?」
樹里がその高代の言葉に問い返した。高代の変心の理由がわからず。
「急にという感じですけれど」
「他の剣士の人達を見てですね」
「影響を受けられたんですか」
「そうです。自分でも少し驚いてもいます」
自分でも言う高代だった。このことを。
「目的の為には手段を選ばない人間だと思っていましたから」
「いえ、
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