第七十二話 六角との戦その五
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
そしてそのうえでだ。こう言ったのである。
「よいな。そうせよ」
「飯を食い休み」
「そうして明日なのでは?」
「まあ今はたんと食うのじゃ」
笑ってだ。先のことは隠し続けるのだった。
「わかったのう。これで」
「はあ、それではです」
「その様に」
足軽達も羽柴の言葉に頷きだ。そのうえでだ。
今は飯をたらふく食い疲れを癒すと共に力も蓄える。そうして夜を迎えるのだった。
その夜になるとだ。すぐにだった。
丹羽がだ。全軍に告げたのである。
「ではこれより全軍でじゃ」
「全軍で!?」
「と、いいますと」
「攻めるぞ」
城をだ。そうするというのだ。
「よいな、それではじゃ」
「いや、ここで夜襲でございますか」
「それはまた意外な」
「これには驚きました」
「そうじゃな。誰でも驚くわ」
かく言う丹羽自身も言うのだった。
「無論敵もじゃ」
「敵も驚く」
「わし等と同じ様に」
「それではでございますか」
「このまま」
「一気に攻め落とすぞ」
丹羽がだ。兵達を率いてだった。
四方から歓声を挙げさせる。その闇夜からの歓声にだ。城の兵達は。
大いに驚きだ。そして言うのだった。
「な、何じゃ!?」
「まさか敵か!?」
「敵が来たというのか!」
丁度飯を食い寝ようとしていたところだ。そこに歓声が響いてきてだ。
彼等は驚いて起き上がりだ。そのうえで城の外を見ようとする。そこにだった。
織田の兵達が闇夜の中から一気に来る。そうしてだ。
城門を開け次々に雪崩れ込もうとしてくる。その中でだ。
丹羽がだ。軍配を手に言うのだった。
「降る者は刀も弓矢も捨てよ!そしてしゃがめ!」
「そうした者は命は取らぬ!」
滝川も同じ様に告げる。
「立っており刀を持っている者だけを斬れ!」
「降る者の命は奪うな!」
「何っ、降れば助かるのか!?」
「死なずに済むのか!?」
闇夜の混乱の中のこの言葉にだ。六角の兵達は。
忽ちのうちに浮き足立ちだ。そしてだった。
次々と武器を捨てて座り込む。これが決め手になった。
箕作城は呆気なく織田家の手に落ちた。その報はすぐに観音寺城を囲む信長のところに送られる。それが送られるのを見届けてからだ。城の中に入った丹羽は羽柴に言ったのである。
「今回は御主が一番手柄じゃな」
「いや、それがしは何も」
「いやいや、御主がおらねばここまで楽には陥とせなかったぞ」
笑みでだ。羽柴に対して言う丹羽だった。
「このことは殿にもお知らせしておいた」
「何と、殿にもですか」
「そうじゃ。これでまた御主が褒美を貰えるな」
「ではその褒美で」
「何をするつもりじゃ?」
「母上にいい服でも買います」
ここでも親孝行だった。
「そし
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ