暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第三十四話 戦闘狂その一
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

                       久遠の神話
                    第三十四話  戦闘狂 
 上城は今は高代と共にいた。だが闘ってはいない。
 樹里と共に三人でいてだ。そのうえで昼休みの校庭のベンチに座りながら話をしていた。
 後ろに緑の芝生と木々がある。白い光が上から差し込めている。
 青いアスファルトの上にあるその黄色いベンチの上に座っていた。上城が中央にいて右手に樹里、左手に高代がいる。その高代が上城に言ってきたのだ。
「私はあくまで教育者です」
「先生なんですね」
「はい、そして君は生徒です」
 こう上城に言うのだった。
「そして教師は生徒を慈しむものです」
「それは義務ですか?」
「自然のことです」
「自然ですか」
「教師は生徒を教え導くものです」
 優しい目をしての言葉だった。言葉遣いもそうなっている。
 だがその中でだ。高代は確かにこう言うのだった。
「例え戦う相手でもです」
「だから僕にもですか」
「そうです。教師として接しています」
「ですが戦いでは」
「君を倒す必要があります」
 こう言うのだった。
「私は私の理想とする教育の場を設ける願いがありますので」
「学校ですか」
「八条学園は確かに素晴しい学び舎です」
 このことは彼もわかっていた。充分なまでに。
「偏った教育はなく。しかも教師も生徒を信頼し慈しんでいます」
「そうした先生が多いですね」
「残念ですが我が国ではそうした教師は少なくなっています」
「そういえば僕も中学までは」
「どうでしたか。上城君の中学までの先生達は」
「いい先生もいました」
 ベンチに座りながらだ。上城は話す。三人共丁寧な姿勢で座って話をしている。
「ですが。酷い先生も」
「いましたね」
「異常な暴力を振るう先生がいました」
「暴力団員の様にですね」
「はい、そんな感じで。機嫌が悪いとすぐに」
 生徒にだ。そうした暴力を振るったというのだ。
「女の子を泣かせて笑っていました」
「最低の人間ですね。教育者以前に」
 高代はそうした教師をばっさりと切り捨てた。
「女の子。中学生ですね」
「部活。空手部だったのですけれど」
「どうして泣かせたのでしょうか」
「僕は見てただけです。部活が違いましたから」
 彼は中学の時から剣道部だったのだ。だから空手は知らない。
 だがそれを見てだ。知っていたのだ。
「中学生では禁じられているらしい手を使って。女の子を泣かせて」
「笑ってましたか」
「先生が禁じ手を生徒に使うのは」
「あってはなりません」
 決してだというのだ。
「禁じ手を教えるのも教師の務めですからね」
「じゃあ生徒に使うのは」
「問題外です。ましてやそれを女の子に使って泣
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ