第三十三話 八人目の剣士その九
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「己の為だけにな」
「そうですね。そうした人はいますね」
「何時でも何処でもいる」
権藤は何処か見下げ果てた口調になっていた。
「そうした輩はな」
「この国にもですね」
「実際に首相や官房長官でいた」
権藤はこの事実を聡美に言った。
「己しかなく何処までも恥知らずな輩がな」
「いましたか」
「君の国にもいたか」
「はい」
聡美ははっきりと権藤に答えた。
「いました。神話の時代から」
「今もか」
「そうした人間は本当に耐えませんね。もっとも」
「もっとも?」
「それは人に限らないです」
聡美は人間だけでなくだ。より広いものを見て述べたのだった。
「ニンフや神々にしても」
「神話に出て来る彼等もか」
「神話に書かれているだけではなくです」
そこにあるだけではないというのだ。彼等の行いは。
「むしろ神話に書かれていることはほんの一部です」
「ではそこに書かれていない場所でか」
「そうしたニンフもいまして神々も」
「神々でもか」
「はい、恥知らずな神はいました」
「ゼウスはそこまでいっていないな」
「ち・・・・・・いえあの方は」
言いそうになった言葉をすぐに訂正して打ち消してだ。聡美はゼウスについて権藤に話した。言わずとしれたギリシア神話における天界の神である。
「確かに女性や少年はお好きですが」
「それでもか」
「秩序の神でもあられるのね」
「恥は知っているか」
「はい、御存知です」
聡美は現在形で答えた。
「誰よりも」
「問題があるのはそうした性的な遍歴だけか」
「それが本当に困ったことですが」
それでもだとだ。聡美はよく知っているという口調で権藤に話していく。
「ですがそれ以外は本当にです」
「立派なのか」
「そうした方です。そして殆どの神々もです」
「恥は知っていたか」
「そうです。ですが本当に神々も色々で」
そうした恥を知っている神だけではないというのだ。ギリシア神話の神々の性格や行動はいい意味でも悪い意味でも人間的なことで知られている。
「そうした神もいました」
「恥を知らない神か」
「権藤さんはそうした方を以前」
「知っていたか」
「あまりいい行動とは思えないですが」
「あのまま生きていても害になるだけだった」
壬本についてはだ。権藤はこんな調子だった。彼を手駒として使ったことにも切り捨てたことについてもだ。何の罪悪感も感じてはいなかった。
「それならだ」
「ああされてもですか」
「何とも思わない」
実際にそうだった。
「むしろ害にしかならない輩を処分できた」
「いいことですか」
「恥を知らない愚か者は何にもならない」
こうも言うのだった。
「だからだ。私はあの男を処分できてよかったと思っている」
「
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