第三十三話 八人目の剣士その四
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「世界征服なぞはな」
「考えていませんでしたね」
「あれはハースト等のデマコーグだ」
アメリカのマスコミの一社だ。所謂イエローペーパー、タブロイドの元祖でもある。このハーストの煽動的な記事が日米関係にかなりの悪影響を及ぼしたのだ。
「そうではなかったのだ」
「そうでしたね、実際は」
「当時の日本と今の日本が望んでいたものは同じだった」
「そして今はそれが既にですね」
「ある。滑稽な話だ」
命懸けで望んでいた時は得られずにおぼろげだった今は得られる、それが滑稽だというのだ。
「非常にな」
「確かに。ですがそれでも今は」
「好機だ。我が国にとってな」
「ただ。ライバルもいますね」
「アメリカ、そして中国だな」
この二国の名前を出したところで権藤の目が光った。
「そしてだな」
「ロシアですか」
「あの国の動静はどうなるかわからないがな」
「欧州に行くか太平洋に行くか」
「欧州に向かっても欧州を取り込め終えればだ」
「その時はですね」
「やはり太平洋に来るだろうがな」
そうした意味で最後は来るにしてもだ。とりあえずがだというのだ。
「だがその前に決める。私がな」
「日本を太平洋の盟主に為される」
「そうする。必ずな」
「では。その為にも」
「力が必要だ。私は剣士として生き残り」
そしてだというのだ。
「首相になりそしてだ」
「はい。それでは」
「日本を太平洋の盟主にする」
また言うのだった。このことを。
ただ今度は権藤自身が言った。そうしてだった。
「残りは六人だ。そのどういった者かわからない剣士についても」
「調べますか」
「敵を知ることだ。まずはな」
孫子の兵法も述べる。権藤の知識は広く深かった。
「既に他の六人はわかったがな」
「後はですね」
「まだわからない六人だ。彼等のことを聞こう」
「では八条大学に行かれますか」
「そうしてくる。また何かあれば連絡してくれ」
「はい、それでは」
こう話してだ。そのうえでだった。
権藤はこの日の仕事は午前中で素早く終わらせてだ。それからだ。
一人八条大学に向かった。彼は忍んだつもりだった。しかしだ。
その彼の前にだ。大学のキャンバスのその中でだ。
その彼女、白のブラウスと青のジーンズの彼女が立っていた。銀色の髪に緑の瞳の彼女が。
その彼女を見てだ。権藤はすぐに言った。
「君がか」
「銀月聡美です」
聡美は自分から名乗った。権藤に対して。
「そして貴方がですね」
「権藤竜司だ。司る力は」
「闇ですね」
「既に知っているか」
「剣士のこと、そして剣士の戦いのことを」
「君に聞きたいと思って来た」
来た理由をだ。権藤は聡美にそのまま述べた。
「そして一つ保障しておくことが
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