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戦国異伝
第七十一話 羽柴秀吉その一
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ゃな」
 二人にあやかると決めてもまだだった。決めるべきことがあった。
 そのことについてだ。木下は弟にこんな名前を出した。
「柴羽ではどうもいかんな」
「それは縁起としては」
「ならんな。言うにしても呼ぶにしてもしっくりいかんな」
「そうですな。しかしそれを逆にされてはどうでしょうか」
 柴と羽をだ。逆にしてみればどうかというのだ。
 そしてここでだ。秀長は言った。
「羽柴になりますがこれは即ちです」
「橋場じゃな」
「はい、橋の場、即ち土地と土地をつなぎ人を行き来させるものです」
「よいではないか」
「はい、それではですね」
「それでいこう」
 楽しく笑ってだ。木下は述べた。
「わしの名前は今から羽柴秀吉じゃ」
「五郎左殿と権六殿、それに」
「橋場じゃ。これでよいわ」
 こうだ。満面の笑顔で言うのである。
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