第百四話 崩壊の大地
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キラはナタルの問いに答えた。
「大丈夫ですけれど」
「そうか、じゃあ戻れ」
ナタルはすぐに命令した。
「アークエンジェルの位置はわかるな」
「ええ。けど待って下さい」
「どうしたのだ、一体」
「脱出用のシャトルが」
「シャトル!?」
「はい」
その話はすぐにアークエンジェルにも伝わった。キラが脱出用シャトルを持って来たからであった。
「こんな時にか」
ナタルはそれを聞いて苦い顔をしていた。
「まずいことになったな」
「じゃあ見捨てるのかい?」
「えっ!?」
ムウの言葉にハッとする。
「民間人を。それは軍人としてどうかと思うがね」
「それは・・・・・・」
ナタルは生粋の軍人である。民間人を救助するのは軍人としての義務であるとは認識している。だが時が時なのだ。
「ですが今は」
どうしても口籠ってしまう。
「三輪長官みたいにやるかい?」
「そんなこと、できません」
語気が強くなる。
「民間人を見捨てるなぞ。言語道断です」
「言ったな。その通りさ」
ムウはこの言葉が聞きたかったのだ。ニヤリと笑った。
「そういうことだ。いいな、艦長」
「当然です」
そしてマリューもそれに賛成であった。
「民間人を救わないで何故軍人ですか。ここは喜んで救助しましょう」
「そういうことさ。わかったな、副長」
「は、はい」
「まっ、副長もそれはわかってたみたいだけどな。あまり肩肘張るんじゃないぜ」
「別に私は」
艦橋でそんな話が為されている頃格納庫ではシャトルの回収が行われていた。整備長であるマードックがキラにねぎらいの言葉をかけていた。
「やったな、坊主」
その褐色の顔でニヤリと笑う。
「民間人の救助とはな。ボーナスもんだぜ」
「僕は別に」
キラはそんなマードックに謙遜して言う。
「たまたま見つけただけで」
「たまたま見つけても動くってのは中々できないもんなんだよ」
マードックはまた言った。
「こういう時は特にな。それだけでも大したものさ」
「はあ」
シャトルの中の民間人達が保護されていく。その中には一人の少女がいた。
「フレイ」
何とフレイもそのシャトルにいたのである。
「えっ、キラ」
フレイもキラに気付いた。
「貴方もここに!?」
「うん、実は」
キラは事情を話した。ガンダムに乗っていることも他にはサイ達がいることも。全部話した。
「そう、サイ達もいるのね」
「うん」
二人は廊下を進みながら話をしていた。宇宙空間にあるので少し飛んでいた。
「他にはトールやミリアリア達もいるよ」
「皆いるのね」
「ちょっと変な事情でね。皆いるんだ」
「そうだったの。よかった」
「よかったって?」
「知ってる人達がいてくれて。何が何だかわからないままシャトルに乗せられてコロニーが
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