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久遠の神話
第三十二話 相互理解その十一
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望みもだ」
「望みだからですか」
「望み故に戦うのなら」
 それならばだというのだ。
「同じだからな」
「あの、それでなのですが」
「それで。何だ」
「若し戦うことなく広瀬さんの望みが適えられるのならどうされるでしょうか」
「そうだったらか」
「はい、どうされますか」
「決まっている」 
 すぐにだ。広瀬は聡美のその問いに答えた。
「若しそれができればそれに越したことじゃない」
「やはりそうですか」
「俺は必要だから戦う」
 その願いを現実にする為にだ。その為にだというのだ。
「だからだ」
「そうですか。では」
「では?」
「広瀬さんのお願いが適うことを願います」
 聡美はこう広瀬に言った。
「心から」
「有り難うと言っておく」
 広瀬は聡美の今の言葉を受けてこう返した。
「俺もそうなって欲しいものだ」
「ですね。それでは」
「また会おう。その時はだ」
「はい、また宜しくお願いします」
 聡美も広瀬に別れを告げてそのうえで姿を消した。広瀬のその背を見送ってから自分の家に帰った。こうして彼は告白と戦いを終えたのだった。


第三十二話   完


                           2012・5・4
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