第百二話 血のバレンタイン
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。
「エクステンデッドか」
ふと呟いた。
「ブルーコスモスの奴等、こんな強化人間もどきまで作って何をするつもりなんだか」
彼の名をロウ=ギュールという。元々はジャンク屋だったがその整備の腕前とパイロット能力を見込まれてブルーコスモスにスカウトされた。彼は最初ブルーコスモスは単なる軍需産業だと思っていた。
「失敗したぜ」
だが今の役目を教えられて彼はまずこう思った。
「こんなとんでもない連中だったとはな」
そして今ではこう思っている。早くブルーコスモスから抜け出したいと思っているがそうは出来ない事情が彼にはあった。
「こいつ等、どうなるのかな」
彼の下にいるスティング=オークレー、アウル=ニーダ、そしてステラ=ルージュの三人のパイロットのことである。この三人は元々身寄りのない孤児であり、ブルーコスモスは彼等を引き取って強化したのだ。これはかなり特殊な強化であり、エクステンデッドと呼ばれている。
「話じゃアズラエル議長ももう三人持ってるらしいな」
所謂ブルーコスモスの切り札だ。彼はその存在そのものが気に入らなかった。強化人間という存在に嫌悪感を示す者がいるが彼もまたその一人なのだ。だが彼はその存在そのもの、強化人間という人種に対してではなくそれを戦争に利用することに嫌悪感を感じていたのだ。
「俺がいなくなっても別にいいけどな」
だがそれなればこの三人はどうなるか。それが心配だったのだ。
「最後まで面倒を見てやるよ」
彼は最初に三人にこう言った。そして彼等のリーダーとなったのだ。
そうした経緯からどうしても彼等を見捨てられなかった。今もその為に戦争に参加しているのだ。
「こちらファントムペイン」
ロウは通信を入れた。
「今から前方の敵に攻撃を仕掛けるぞ」
「ああ、わかった」
それにすぐ返事が返ってきた。
「では頼むぞ」
「了解、では行くぞ」
「はい」
三人がそれに続く。
「カオス、アビス、そしてガイアか」
彼等の乗るガンダムを見てまた呟く。
「こいつ等には。他にないのかよ」
心の中で思いながら戦いに赴く。それを合図としてティターンズはロンド=ベルに対して攻撃を開始した。
「敵部隊接近です」
クローディアがグローバルに報告する。
「先頭には三機のモビルスーツです」
「あれは・・・・・・ガンダムか」
「おそらくは」
彼女はグローバルの言葉に答えた。
「ティターンズの新型か」
「いえ、あれはどうやらブルーコスモス製です」
「ブルーコスモスの」
「連邦でも新しいガンダムを開発しているという話がありましたが」
「それとは別にか」
「おそらくは」
「ガンダムもポピュラーになったものだな」
グローバルはそれを見てまた言う。
「我々だけではなく敵も開発しているとは」
「確かにそうですね」
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