第百二話 血のバレンタイン
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「何処にだ」
誰かが言った。
「あの野郎、一体何処に」
「おそらくは」
彼の噂はおおよそ知れ渡っていた。それならば・・・・・・答えは一つしかなかった。
「じゃあティターンズじゃねえか!それもブルーコスモスの奴等だ!」
「あいつ等、何処までも卑劣な!」
「だがもう遅いのだ」
グローバルの言葉は沈痛さを増していく。
「連邦軍が攻撃したことには。変わりはない」
「チィッ!」
「じゃあこのままだと!」
そこで放送がかかってきた。
「!?」
「これは」
それはプラントからの放送であった。テレビのスイッチを入れると白髪に紫の軍服の男がいた。
「私はプラント国防委員長パトリック=ザラである」
「パトリック=ザラ」
「プラント最高評議会のメンバーでもあります」
キムがグローバルに言う。
「つまり連中のお偉いさんってわけかよ」
「そんなのがわざわざ出て来るってことは。まずいな」
マサキとリュウセイがテレビを見ながら険しい顔をしていた。
「宣戦布告かな、こりゃ」
「我々はこれまでにもコーディネイターの自由と権利の獲得の為に地球連邦政府からの独立を要求してきた」
「そうだったのかよ」
甲児がそれを聞いて言った。
「初耳だぜ」
「彼等の存在は今まで誰にも知られていなかったからな」
竜馬がそれに応える。
「だから。その要求も知られることはなかったんだろう」
「そういうことか」
「俺達だってその存在を知ったのはつい最近だったな」
隼人も言った。
「それを考えると。当然なのかもな」
「しかし連邦政府はその要求を無視した上に我々を弾圧する政策を打ち出したのだ!」
ザラは言う。
「それが今だ!連邦軍の卑劣な核攻撃により銃を持たないユニウスセブンの同胞達が虐殺された!」
「やっぱり言ってきたな」
「うん」
ショウとチャムがそれを聞いて苦い顔をしていた。
「その数二十四万三千七百二十一名!まるで塵の様に殺された!我々はこれを許すことが出来ない!」
「いよいよだな」
ラッセが呟く。
「最後の言葉だ」
「ヘッ、わかっていても聞きたくはないもんだね」
サブロウタの軽口にもいつもの切れ味はなかった。
「こんな状況だと余計にな」
「我々ザフトは自らの自由と権利を守る為地球連邦政府に対して宣戦を布告する!」
「これで全ては終わりだ」
グローバルは沈痛な声で述べた。
「我々はプラントと戦争に入った」
「彼等ともですか」
「そうだ。今後は彼等も敵だ。厄介なことになるぞ」
避けなければならない戦いがはじまってしまった。これは戦乱をさらに大きくさせるものであった。地球圏の混乱は続くのであった。
第百二話完
2006・7・1
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