第六十九話 岐阜での会見その五
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「やあやあ、よく来られました」
「お二人とは上洛の時会いましたな」
「そうでしたな」
「はい、そうですね」
「お久し振りです」
二人も笑顔で彼等に応える。その彼等にだ。
前野がだ。笑顔でこう言ってきたのである。
「ではこれから如何でしょうか。茶でも」
「茶ですか」
「それをですか」
「はい、それはどうでしょうか」
家臣達を代表してだ。前野が言ったのである。
そしてそれを受けてだ。明智と細川もだ。
まずは顔を見合わせる。そのうえでだった。
こうだ。彼等に応えたのである。
「では喜んで頂きます」
「その茶を」
「では」
こうしてだ。茶を飲みながらだ。明智に細川、その他の義昭の周りの者達も織田家の家臣の者達と談笑に入る。その中でだった。
明智は織田家の者達の顔を見た。そのうえでだ。
明智が感じたことは彼等は誰もが表情が明るく目の光が強い。心も才も充実していることがわかった。そのことを見てからだ。
明智はだ。織田家の中でとりわけ大柄なだ。柴田に対して問うたのだった。
「柴田勝家殿ですね」
「左様でござる」
その通りだと明智に返す柴田だった。その声は大きく姿勢も堂々としている。
その柴田がだ。こう明智に言ったのである。
「それがしがその柴田勝家でござる」
「そうでしたな。織田家の家老の御一人ですな」
「ははは。殿にはいつも四角四面で融通が利かぬと言われております」
「まあ事実ですからなあ」
「確かに」
その柴田の横からだ。前田と佐々が笑って述べた。
「権六殿の堅物といえば平手殿と双璧」
「まさに鬼の柴田でございます」
「鬼は余計じゃ」
柴田はその髭だらけの顔をむっとさせて二人に返した。
「全く。横から茶化す様にして言うな」
「おっと、これは失礼」
「気分を害されましたか」
「害したわ。この二人が前田利家と佐々成政」
柴田は二人を手で指し示して明智に紹介する。
「織田家の悪童共でございます」
「おや、悪童はそれがしではなかったのですか」
今度は慶次が出て来る。その横には可児がいる。
「この天下のふべん者前田慶次ではござらぬか」
「御主は最悪の悪童じゃ」
そうだとだ。柴田はむっとした顔でその慶次に告げた。
「全く。御客人には悪戯なぞ企まぬことじゃ」
「ううむ、柴田殿は厳しいですなあ」
「御主は叱らねばならん者じゃ」
怒った声で返す柴田だった。その口が実に大きい。
「何をやってもいい加減な。仕方のない奴じゃ」
「それがしは何でも徹底的にしますぞ」
「いい加減なことを徹底的にやってどうするのじゃ」
これが慶次だった。柴田の見たところのだ。
「全く。始末に終えぬ奴じゃ」
「ははは、ですからふべん者でございます」
「いや、前田
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