第百一話 小バームの攻防戦
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第百一話 小バームの攻防戦
リヒテルは長い間牢に幽閉されていた。ただその中に蹲っていた。
(余が牢に閉じ込められどれ位の月日が経ったのだろうか)
彼はその中で思った。
(戦いはどうなったのだ?バームは勝利したのか?)
かって軍を率いたものとしてそれが気になって仕方がなかった。
(今はただそれだけが気掛かりだ)
そんなことを考えていると牢の扉が開いた。そして一人の女がやって来た。
「リヒテル様」
「その声は?」
リヒテルはその声に顔をあげた。そこにはライザがいた。
「リヒテル様、牢の衛兵は買収してあります」
「ライザ、無事だったのか」
「はい」
ライザはそれに頷いた。
「私とバルバスも半ば監禁の状態にありましたが総攻撃を前に前線に復帰となりました」
「おお!遂に地球と雌雄を決する時が来たのか!」
「その為この小バームも現在では月軌道上に移動しております」
「何だと!?」
リヒテルはそれを聞いて驚きの声をあげた。
「ここは十億のバームの民が冷凍睡眠装置で眠っているのだぞ!」
彼は叫ぶ。
「その小バームを前線に持ってくるなど、オルバン大元帥は何を考えておられるのだ!?」
「そのオルバン大元帥についてですが」
「うむ」
リヒテルはライザの顔が曇ったのを見逃さなかった。
「良からぬ噂が流れております」
「噂だと?」
「はい。大元帥はバームの民をゼーラのダリウス大帝に売ったと」
「馬鹿な!」
リヒテルはそれをすぐに否定した。
「オルバン大元帥はバームの統治者だぞ!それが何故自らの臣民を」
「噂はそれだけではありません」
ライザの言葉は続く。
「リオン大元帥の暗殺もオルバンの仕業とのことです」
「待て!」
リヒテルはそれを聞きライザを見据える。
「その様な噂一体何処が出所なのだ?」
「市民の間に紛れ込んだ平和解放機構なる者達によるものと思われます」
「平和解放機構だと?」
リヒテルはそれを聞いて目を顰めさせた。
「その様なものが存在するのか」
「はい。連中は私利私欲で戦いを引き起こしたゼーラ及びバームの指導者達を打倒し」
ライザは言う。
「地球側との再度の和平交渉を目的としているのです」
「ライザ、お前までその噂に惑わされているのか!?」
「ですがリヒテル様」
ライザは彼に言う。
「リヒテル様へのこの仕打ち。オルバン大元帥には何か後ろ暗い秘密があるのではと」
「ううむ」
「さらに平和解放機構はこの小バームにて市民を先導し遂には大元帥暗殺を企てました」
「それで大元帥は!?」
「計画はすんでのところで発覚し、メンバーはゲロイヤー参謀の手により全員捕らえられたと聞きます」
「そうか」
「そしてリヒテル様」
ライザの話は続く。
「その首謀者は
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