第三十一話 広瀬の秘密その九
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「国家が全て統制していているとだ」
「それは社会主義になるのね」
「ナチスは社会主義だった」
まさにそうだったというのだ。
「国家社会主義だった。ソ連は一国共産主義だったけれどね」
「あっ、それって」
「同じだよね」
「そうね。私にもわかったわ」
農学部のであるだ。由乃にもわかったというのだ。
「ナチスとソ連って同じだったのね」
「違うのは名前位かな。秘密警察もあったし」
「ゲシュタポとかKGBとか」
「どちらも恐ろしい組織だったしね」
「あんな組織は絶対に嫌よ」
こうした組織のことはあまりにも有名だった。ナチスやソ連の政策の根幹を成していたからだ。その悪名高き全体主義の特徴だったのだ。
「若し睨まれたらそれだけで、よね」
「何をされるかわからない」
「実際に国家に反対していなくてもよね」
「そんなことは実はどうでもよかったんだ」
理由はどうとでもなった。ナチスやソ連では。
「革命の敵だの国家の敵だの言われてね」
「ううん、怖いにも程があるわね」
「そうだね。それにね」
「ええ、それに?」
「さっきも言ったけれど経済活動が制限されているから」
このことが一番大事だった。広瀬が今由乃に話していることで。
「牧場も本当にあんな感じにはできないよ」
「うちの牧場ってのびのびすることを考えてやってるのよ」
「そうしたこともとてもできないからね」
「やっぱり資本主義がいいのね」
「問題点も多いけれど社会主義よりずっとましだよ」
広瀬はここでは社会主義と共産主義は同じものとしていた。
「昔の学者はどう言ってるかは別にね」
「その学生運動やってたおじさん達は何もわかってないのね」
「馬鹿だったんだよ」
彼等についてはだ。広瀬は全否定だった。
「あの人達はね」
「そうね。馬鹿だったのね」
「馬鹿でないとあんなことは言わないさ」
「そうした人達こそうちの牧場に来て色々してみればいいのにね」
由乃は広瀬の後ろにいながたこうしたことも言った。
「色々なことがよくわかるから」
「牧場も勉強する場ってことだね」
「勉強する場所よ」
実際にそうだとだ。由乃は言った。
「牧場は最高の勉強場所よ」
「学校よりも」
「少なくとも学校と同じ位色々なことがわかるから」
由乃はこう広瀬に力説する。
「だから広瀬君も一度うちの牧場にじっくり来てよ」
「考えておくよ」
何故かだ。ここで広瀬は前に出て言わなかった。
「そのこともね」
「いつもそう言うけれど」
「君のお父さんやお母さんがどう言うかな」
言葉に不安なものが含まれていた。
「それはどうなのかな」
「大丈夫よ」
広瀬とは正反対にだ。由乃の言葉はあっけらかんとしていた。
「全然ね。大丈夫よ」
「そう
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