第六十八話 足利義昭その八
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「三好に対する者も多くおりまする」
「その者達にも兵を向けねばならん」
「畿内は人が多くかなりの兵を集められますが」
だがそれでもだった。兵は集っても使えるかどうかなのだった。
「しかし我等に向けられる兵となりますと」
「そもそも三好の総兵力は幾らじゃ」
「四国で二万、畿内と淡路で四万程度です」
その問題となる国人達も合わせてだ。それだけだった。つまりだ。
「総勢六万です」
「そうじゃ。しかし四国に一万を置き」
「国人達、それに隣国である丹波の波多野や播磨の赤松達もおりますし」
その彼等に向ける兵はというと。
「彼等にも二万程向けねばなりません。またその二万は信用できぬ国人達の数でもあります」
「国人達の兵じゃな」
「左様です」
「そこでまた二万じゃな」
「今で三万です」
水軍も入れてだ。それだけだった。
「しかしその三万のうちです」
「まだ兵を割かねばならんのう」
「はい、本願寺との関係も微妙になってきていますし」
三好にとっては頭の痛いところだった。畿内に北陸を中心に異様なまでに巨大な勢力を誇る本願寺とは主長慶の死後微妙な関係になってきているのだ。これは双方の意志の疎通が主の死により疎遠になってきているからだ。
それでだ。本願寺にもだった。
「やはり彼等にもです」
「兵を割かねばならんな」
「宿敵になっている大和の松永にもです」
「そして紀伊には本願寺と懇意の者達もおる」
「根来衆等ですな」
「それではそちらには幾らじゃ」
「これまた一万です」
それだけの兵がまた必要になるというのだ。
「都の不穏な者達へも兵は向けねばなりませんから」
「結果として我等に向ける兵は二万じゃな」
「はい」
生駒は静かに答えた。
「それに松永もおりますが」
「松永の兵はどうじゃ」
「五千はおりますがこれも都に多くは向けられませぬ」
彼にしてもそうだというのだ。
「大和も多くの国人がおり興福寺に筒井氏がおります」
「筒井じゃな、その」
「はい、筒井と松永はまさに犬猿の仲です」
大和の支配を巡ってだ。そうなっているのだ。
「だからこそです」
「やはり松永も兵は割けぬ」
「松永は殆ど向けられぬかと」
「実際相手は三好の二万じゃな」
「松永との戦でもそれ位出すのが限度でした」
それを考えると三好も辛かった。少なくとも万全の状況には程遠かった。
そしてだった。その二万に対してだった。
「我等は六万、それに六角の下した兵達もおる」
「それも入れればですな」
「三好、松永を圧倒しておるな」
「さすれば都の戦いは」
「それでじゃ、甚助よ」
生駒に対して言う信長だった。
「そのうえでこちらがほぼ死ぬ者の出ぬ戦を考えよ」
「その二万の三好、松永に六万以上
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