第三十話 二対一その七
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(ラミアの音だ)
(動く音だ)
それだとだ。確信した。そしてだ。
その音を聞いてだ。さらにだった。
シュウシュウという音が聞こえてきた。その音もだ。
(そうか。ラミアは蛇だ)
(人と蛇の合わさった怪物だ)
(ならば蛇の音を出すのも当然)
(その音は隠せないか)
その音は確かに聞こえてきていた。尚且つだ。
音は一つだった。姿は複数見えていたがだ。
そしてその音はある場所から聞こえてきた。そうして。
その場所にだ。二人は共にだ。
剣を一閃させてそこから巨木を横に、光の帯を出した。それで怪物を打った。
だが、だった。怪物はそれをかわした。手応えがなかった。
それを受けてだ。二人は言った。
「かわした!?」
「そうしましたか」
「敵もさるものということですね」
「その通りですね」
二人は目を閉じたままやり取りをする。やはり耳に頼っている。そのまま怪物の音を聞いている。聞けば音は今は高代から見て後ろに回ろうとしていた。
そしてそこから襲おうとしているがわかった。ならばだった。
二人は同時にそこにまた巨木と光の帯を放った。それでだ。
今度こそ怪物を貫いた。戦いは短い時間で終わった。
そのうえで怪物がいた方を見る。するとそこには。
金塊があった。広瀬はその金塊を見て言った。
「これは俺はいいです」
「お金はいらないのですか」
「お金をいらないと言えば嘘になります」
「しかしですか」
「俺はお金の為に戦ってはいません」
そうだといいうのだ。
「ですから。貰うにしてもです」
「どうされますか?それでは」
「これだけで充分です」
金塊の山のところに来てだ。そのうえでだ。
彼はのべ棒、黄金のそれを一本だけ拾った。それを手にしたうえで言うのだった。
「これだけで」
「では後はですか」
「高代さんの御自由に」
「わかりました。それではです」
高代は広瀬のその言葉を受けてだ。一も二もなくだった。
その金塊に近付き残りを全て手に取った。そのうえでだった。
「私は必要ですのね」
「お金がですか」
「生き残る以外にもお金があればです」
「貴方の望みを適えられるのですね」
「こう言っては何ですがお金は重要です」
高代はあえてシビアに言ってみせた。
「望みを適える為にはです」
「だからお金をですか」
「はい、貰います」
そうするというのだ。
「何億かかるかわかりませんがお金があえば生き残らなくとも」
「貴方の望みは適えられますか」
「はい」
その通りだというのだ。
「私は戦いを望むのではなく」
「願いを適えたいのですね」
「私の理想とする学園を築きます」
その願いをだ。高代は淀みのない目で広瀬に話した。
「だからこそです」
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