第九十六話 ダバとギャブレー
[1/13]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第九十六話 ダバとギャブレー
「そうか、ロゼは当分動けないか」
「はい」
マーグは医師からロゼの様子について話を聞いていた。
「御命には別状はありませんが」
「背中の傷は思ったより深いか」
「暫くは安静にされることをお勧めしておりますが」
「聞かないのかい?」
「はい」
医師は申し訳なさそうに答えた。
「残念ながら」
「そうか、では私が行こう」
「司令がですか?」
「そうだ。副司令を止めるのも司令の役目だ」
「はあ」
「ロゼは今までよくやってくれた。そしてこれからもな。よくやってもらいたい」
「左様ですか」
「ではロゼの部屋に案内してくれ」
彼は医師に対して言った。
「すぐに行きたい。いいね」
「わかりました。それでは」
「うん」
こうして彼はロゼの部屋に向かった。医師に案内されながら。
ロゼの部屋は個室であった。バルマー銀河辺境方面軍副司令官としてかなりいい部屋が与えられているのだ。
マーグは医師と共にその部屋に入った。見ればその部屋はあまり女性らしさを感じさせないものであった。
装飾は何もなく部屋は飾られてはいない。部屋の中は綺麗で掃除が行き届いている。極めて簡素で質素な感じのその部屋の端にベッドに横たわる一人の少女がいた。
「司令」
「ロゼ」
マーグはロゼの顔を見て優しい笑みを浮かべた。
「あの時はどうも有り難う」
「いえ、そのような・・・・・・うっ」
起き上がろうとすると背中に鈍い痛みが走った。
「無理をしてはいけないよ」
マーグはそんなロゼを気遣ってこう言った。
「今の君は負傷者だ。無理は出来ない」
「ですが」
「それに今我が軍は戦力を再編成すべき時に来ている」
「戦力を!?」
「そうだ。ポセイダル軍が母星に帰りたがっている。あちらの事情でね」
「左様ですか」
ロゼはそれを聞いてベッドの上で身体を起こしたまま残念な顔になった。
「致し方ありませんね。ポセイダル軍に関しては」
「そうだね。彼等は私と同じ十二支族だし」
「はい」
実はロゼも十二支族に連なる者ではある。だが本星にはいないので地位はいささか低いものになっている。
ポセイダルもまた本星にはいない。だがオルドナ=ポセイダルは十二支族ポセイダル家の主である。だからマーグも決して無理強いは出来なかったのだ。バルマーは階級社会である。そうした立場は厳然として存在していた。
「彼等の事情であれば仕方ない。ここは帰還を認めるしかない」
「それは今すぐでしょうか」
ロゼは問うた。
「いや、それはまだ先のことだ。少なくても今の作戦中じゃない」
「左様ですか。それなら」
「だが今度の作戦では君の出撃は禁止する」
「えっ・・・・・・」
ロゼはマーグのその言葉を聞いて顔を
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ