第九十六話 ダバとギャブレー
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暗くさせた。
「司令、それは一体」
「君は負傷している。それだけで充分だと思うが」
「こんな傷、何でもありません。・・・・・・グウッ」
「とてもそうは見えないけれどね」
「いえ、これは・・・・・・」
誤魔化せるものではなかった。ロゼは嘘をつくのが下手だった。今も背中の痛みに顔を歪ませている。それだけ見ればもう
充分なのは確かであった。
「君は怪我をなおすことに専念するんだ、いいね」
「・・・・・・はい」
止むを得なくそれに頷いた。
「今回の指揮は全て私が執る」
「わかりました」
「君はロゼのことをくれぐれも頼むよ」
「お任せ下さい」
医師に顔を向けて言うと彼もそれに頷いた。
「ロゼ様、では宜しくお願いします」
「う、うむ」
ロゼはまだ少し戸惑いながらもそれに頷いた。そしてマーグにも顔を向ける。
「司令」
「何だい?」
「私の全て、司令にお預けします」
「いいよ、そんなことは」
彼はその意味深い言葉をまずは受け取らなかった。
「君は君、私は私なんだから。違うかい」
これはバルマーにおいてはかなり異質な言葉であった。霊帝、そして十二支族を絶対とするバルマーの者の言葉としては。
「いえ、それでも」
ロゼは言った。
「ならば私だけがお慕いしても宜しいでしょうか」
「それは一体どういう意味だい?」
「そ、それは・・・・・・」
ロゼは顔を真っ赤にして俯いた。だがそれでも言った。
「それはですね」
「うん」
マーグは気付かない。ロゼの今の彼への気持ちに。
「あの、その・・・・・・」
ロゼも口ごもる。どうしても言えそうになかった。
それでも言おうとする。ロゼは完全に少女の顔になっていた。
「司令」
だがここで兵士達がマーグのところにやって来た。
「どうした?」
「外銀河方面軍司令ハザル=ゴッツォ様から通信です」
「彼からか」
「如何されますか?」
「出ないわけにはいかないだろう。ではすぐに艦橋に戻ろう」
「わかりました。それでは」
「うん。じゃあロゼ」
「はい」
最後にロゼに顔を向けてきた。
「また来るから。それまで静かにしていておくようにね」
「わかりました。それでは」
マーグは部屋を去った。医師もとりあえず今は去る。ロゼは自分の部屋に一人になった。
「やはり。言えないわよね」
仕方ないといった顔で弱々しく微笑む。そこにはいつもの凛としたロゼの顔はなかった。一人の少女としてのロゼの顔がそこにあった。
「お帰りなさい、リツコ」
「ええ、ミサト」
人間爆弾の処理を終えたリツコ達も宇宙に出ていた。そしてオービットでロンド=ベルと合流したのであった。
「そっちは上手くいったみたいね」
「ええ、サコン君のおかげでね」
リツコは笑顔でミサトに応えた。
「彼がいなかっ
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