第二話 銀髪の美女その三
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それでだ。きつねうどんの揚げを食べながら樹里に話した。
「それって変わった名前だけれど」
「それでもっていうのね」
「日本人の名前だよね」
「何でもハーフらしいのよ」
「ハーフ?」
「国籍はギリシアだけれど日本人の血を引いていて」
それでだというのだ。
「その関係でね。お父さんかお母さんのお家もあって」
「それで日本の名前なんだ」
「そうみたいよ」
こう上城に話すのだった。
「それがその留学生の人らしいわ」
「成程、そうなんだ」
「それがその銀月さんって人なのよ」
「銀月さんね」
「一度御会いしてみる?」
樹里は自分から上城に言った。
「今日にでも」
「今日にでもって」
「そう。興味あるのよね」
「僕は別に」
「私があるから」
樹里はいささか強引にこう上城に話した。
「だから来て」
「そうなるんだ」
「取材も兼ねて」
半分以上理由付けだがそれでもだというのだ。
「一緒に来て」
「話変わってない?」
「けれどいいじゃない」
話の強引さが強くなっていた。
「上城君も興味あるんだし」
「僕は別に」
「興味があるから話すんじゃない」
「だからだっていうんだ」
「そう。じゃあ今日の放課後ね」
「部活の前にね」
こうして話は樹里のペースで決まったのだった。そしてだ。
樹里は今度はだ。こんなことを言ってきた。
「あとね」
「あと?」
「銀色の髪って」
そのだ。銀髪について話すのだった。
「白髪とかそういうのじゃないわよね」
「違うみたいだよ」
「歳を取ったみたいなのじゃなくて」
「そう、そのままのね」
「銀髪なの」
「ちょっと想像できない?」
「実は」
そうだとだ。樹里は首を傾げさせながら言うのだった。
そのうえでだ。ざるそばと一緒に注文した天丼を食べてからだった。上城に話す。尚上城は上城で親子丼も一緒に食べている。
「銀髪ってはじめて見るのよね」
「地毛のはだね」
「そうなのよ。地毛の銀髪って」
「日本人にはいないからね」
「そうでしょ。白人の人でも」
どうかというのだ。
「見たことないのよ」
「プラチナブロンドっていったんだっけ」
「金髪よりまだ珍しいのね」
「金髪の人は多いじゃない」
特にゲルマン系に多い。ゲルマンといえば金髪に碧眼であるという認識は上城だけでなく樹里にもわりかし強く存在している。
「だから別に」
「珍しくないけれど」
「銀髪はね」
「確かに。言われてみれば」
話をしているうちにだ。上城も思うようになった。
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