第六十五話 飛騨からの使者その五
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「拳。この拳と気を使う」
「鞠だよ。土の術とこの身体で何でも弾き飛ばすよ」
「煙ですじゃ。水の術と煙が得意ですじゃ」
三人も名乗る。その三人を見てだ。また言う信長だった。
「中々面白いのう。まさに忍の術じゃな」
「わし等もあちこちから飛騨に来た」
「そう。飛騨で皆に会ったんだよ」
「いや、山奥でも一盛りですじゃ」
こう言う三人だった。そして今度は二人の娘だった。
白い装束に茶色の髪のだ。はっきりとした顔の娘と黒髪に巫女の服を着た穏やかな面持ちの少女だ。二人共それぞれの美貌を見せている。
その彼女達もだ。それぞれ名乗るのだった。
「風です。この足や拳で戦って風の術も使います」
「命です。占いや仙術を使います」
「ふむ。仙術か」
信長はまず命を見て言った。
「どうやら御主が飛騨者の軍師じゃな」
「いえ、私は」
「えっ、信長様おわかりになられたのですか!?」
しかしだった。風がだった。驚きの顔と声でここで言うのだった。
「何でまた一目で」
「ふむ。風といったな」
信長は次に風も見て述べる。
「御主、嘘は下手じゃな」
「確かにあたしそういうのは苦手ですけれど」
「おおよそわかる」
信長は笑ってだ。風に述べるのだった。
「命の目の光は穏やかじゃがそこには知恵がある」
「目でおわかりになられたってんですか」
「大体じゃがな。人を見るには目を見るのがよい」
信長は風にこうも述べる。
「それでかなりわかる」
「ううん、信長様ってやっぱり賢いんだ」
「随分口の悪い娘じゃな」
風の今の言葉にだ。佐久間大学が少し呆れて言った。
「殿にそこまで言うか」
「言って首を切られるんですか?」
風はその大学にも臆面もなく返す。
「信長様はそうした方なんですか?」
「いや、それはない」
大学もそれは否定する。
「殿はそうした方ではない」
「じゃあいいじゃないですか」
「ははは、面白い娘じゃ」
そして信長も笑って述べる。
「それでよい。気の強いおなごも歓迎じゃ」
「何と、これだけ口が悪くともですか」
「それでもよいのですか」
「よい、要はどれだけの力がありじゃ」
そしてさらにだった。
「心根がよいかじゃ」
「ふむ。見たところ」
木下はその目を大きく見開きだ。そのうえで述べた。
「この娘口は悪いが心根はよいですな」
「猿にはわかるか」
「目を見ました」
風のだ。その目をだというのだ。
「それでわかりました」
「そうじゃ。この娘の目もまたよい目じゃ」
信長は風についてさらに話していく。
「気に入ったわ。この娘もな」
「何か信長様ってさ」
彼等の中の小柄な、青い装束の少年がここで言った。
「おいら達の誰もを気に入ってない?」
「御主は
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