第二十八話 使い捨ての駒その一
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久遠の神話
第二十八話 使い捨ての駒
壬本と対峙する中田を見てだ。上城は樹里に言った。
「中田さんは絶対に勝つよ」
「絶対に?」
「そう、絶対にね」
こう樹里に言ったのである。
「勝るよ」
「そう言える理由は」
「あの人は剣士じゃないから」
上城は今度は壬本を見て言った。
「だからね」
「あの人が剣士じゃないから」
「剣道も知らないね」」
「剣道もなの」
「そう、知らないからね」
そうしたところも見ての言葉だった。
「だから。中田さんは勝つよ」
「そういえば中田さんって」
「剣道の全国大会で優勝してるから」
「そこまで強いから」
「そう、勝つよ」
剣の腕自体もだ。全く違うというのだ。
「何があってもね。ただね」
「ただ?」
「いや、誰なのかな」
首を捻ってだ。こうも言う上城だった。
「あの人に剣を渡したのは」
「それがよね」
「そう。闇の剣士だけれど」
他ならぬだ。それだというのだ。
「あの人をそうした駒にした人って」
「そういえば誰なのかしら」
「樹里ちゃんも気になるよね」
「ええ」
そうだとだ。樹里もこくりと頷いて答える。
「誰なのかってね」
「そうだよね。やっぱり気になるわよね」
「少し、いえかなりね」
言葉も訂正した樹里だった。
「気になるわね」
「そうだよね。闇の力」
「それを使う剣士の人って」
「誰なのかな」
首を捻って言う上城だった。
「その人が七人目の剣士だろうけれど」
「七人目。遂に出て来たのね」
「そうみたいね。ただね」
「ただっていうと?」
「その剣士の人は。多分だけれど」
どうかとだ。樹里はここで上城にこう話した。
「いい人じゃないわね」
「そうだね。どんな理由があるにしてもね」
「人を駒に使うのは」
このことからだ。話す二人だった。
「いいことじゃないわ」
「僕もそう思うよ。ただね」
「中田さんもね」
「あの人のことを知ってるみたいだから」
このことからもだ。上城は考えた。壬本とその七人目の剣士についてだ。
「それでだけれど」
「駒を使うことには構わないって言ってるわね」
「そうなんだよね。どうしようもない人だからって」
「確かにあの人もいい人じゃないけれど」
樹里もだ。壬本についてはこう思っていた。何しろ攻撃され殺されかけたからだ。だからこそこのことはだ。彼女にしても否定できなかったのである。
そしてだ。樹里はさらに言った。
「けれど。何か中田さんって」
「今回は違うね」
「そうよね。普段のあの人とは」
「戦いは否定しない人だけれど」
これもその通りだった。彼は戦い自
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