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久遠の神話
第二十七話 愚劣な駒その十五
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して馬鹿じゃないんだ?」
 糾弾だった。壬本の過去に対する。
「御前それ高校でも随分言われたろ。バイト先でも親父さん達からもね」
「皆わかってくれないんだ。僕のことを」
 あくまでだ。こう言う壬本だった。
「だから。ああして僕を」
「まあなあ。本当に何を言っても無駄なのはな」
 中田は己の頭の後ろをだ。右手で掻きだ。呆れ果てた顔でだ。
 こうだ。壬本に言ったのだった。
「わかってたけれどな。何の進歩もねえ奴だな」
「僕は君を倒す。そして」
「そしてなんだな」
「僕を馬鹿にして追い出した人を皆」
「見返すとか言うんだな」
「そう。皆許さない」
 いよいよだ。壬本のその目が血走った。
 そしてその目を中田に向けてだ。言うのだった。
「皆。僕を馬鹿にした皆は」
「で、俺もその中にいるんだな」
「君にも馬鹿にされたから」
 それでだというのだ。
「ここで倒す」
「じゃあはじめるか」
 ここまで言ってだ。そうしてだった。
 中田はその両手に彼の剣を出した。二本の刀をだ。
 赤いその剣を出してだ。そして言ったのである。
「容赦はしないからな」
「容赦しないのはこっちだよ」
 二刀流の構えを取った中田にだ。壬本は刃を逆さにし左手を先、右手を後にした逆手でその闇の剣を持ってだ。そのうえで対峙しながら言った。
「僕は。君も嫌いだから」
「ああ、それわかってたよ」
 壬本が自分をどう思っていたのか、それをだというのだ。
「よくな」
「わかっていたんだ」
「俺随分御前に注意したからな」
 彼のその出鱈目さ、まさにそれにだ。
「それもかなりだ」
「いつもいつも悪口を言ってくれたね。じゃあ」
「ああ、はじめるか」
「今までの恨み、晴らすからね」
 まさにその感情も見せてだった。壬本は言った。
「今日ここで」
 こう中田に告げてだ。彼は構えていた。そしてそのうえでだ。闘いに入るのだった。


第二十七話   完


                          2012・3・19
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