青葉時代・襲撃編<後編>
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ャクラを込めて瞬時の怪力を発揮して放り飛ばす。
そのまま振り切った私の勢いに逆らう事無く、マダラは遠くに着地すると手にした団扇を背に直し、印を組む。
その姿から目を離す事無く、私も木遁の印を組んだ。
「――口寄せの術! 来い、九尾!!」
「――木遁・樹界降誕!」
地面に押し付けられたマダラの手を中心に放射状の術式が刻まれたのと同時に、私の足下より無数の木々が生え出して来る。
口寄せの煙が濛々と立ち込めた中で輝く鮮血の瞳が見えて、自然と顔が険しくなった。
一際高い咆哮が上がり、朱金色の輝く毛並みと三つ巴紋の浮かぶ鮮血の双眸が夜空に輝く。
「――……九尾と契約を結んだのか」
「ああ、そうだ。――やれ、九尾!!」
『グウオオォォォ!!』
月に向かって大きく咆哮を上げて、襲いかかって来る九喇嘛。
叫び声一つにも尋常でない量の衝撃が込められている。
マダラと九喇嘛かぁ……にしても最悪過ぎるよ、この組み合わせ。
冷や汗が頬を伝うが、敢えて平気な表情を浮かべてみせた。
*****
「マダラ! 何故、こんな馬鹿な真似をした!?」
迫ってくるマダラへと手裏剣を投げながら、そう叫ぶ。
追放されたとはいえ仮にも頭領がこんな真似をすれば、勝っても負けてもうちはの一族が今後肩身の狭い思いをするのは確実だ。
「答えろ、この大戯け!!」
「――黙れ!!」
怒りと憎しみに満ちた赤い瞳で私を睨みながら、マダラが吠える。
ギラギラとした赤い目は私から逸らされる事無く、激情に支配されて物騒に輝いていた。
「うちはと千手は所詮、水と油! どれだけ貴様が心を砕こうが、相容れる事など断じてない!!」
「オレにそんなつもりは――ないっ!」
分かり合う事を望んでいた。分かり合えると思っていた。
元は一つの仙人からなる血筋。
兄弟として、仲間として、同士として。――このまま過ごせると思っていたし、そうするつもりだった。
九喇嘛の足に太い幹が幾重にも絡み付く。
自らの動きを止めようとする木々に苛立ったのだろう、九喇嘛が一際大きく息を吸うとその胸元が大きく膨らむ。
『――――カッ!!』
音の暴力と言うか、声の砲撃。
叩き付けられた咆哮の一撃に、それまで縦横無尽に蔓延っていた木遁の森が薙ぎ払われるだけでなく、地面すら抉られる。
鼓膜を通り越して直に脳に叩き付けられそうな衝撃に、思わず顔が引き攣る。
こんなの直接人体に受けでもしたら、まず間違いなく内蔵ごとズタズタにされてしまう。
背負っていた巨大な巻物の紐を解き、勢い良く開いた。
出し惜しみなどしていられる様な相手じゃない。
九喇嘛を傷つける様な真似をするのは不本意だが
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