第二十六話 壬本という駒その十
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「消耗品として扱っているだけだ」
「どうしようもない人間だからですか」
「正直ああした人間はそれしかないだろう」
消耗品、手駒として使うしかだというのだ。
「意地の悪い見方だがな」
「ですね。何を言っても聞かずに」
「しかも最低限のことの善悪もわからないのならな」
「何もできませんからね」
教え諭すこともだ。全くだとだ。高橋も言った。
「仕方ないですね。本当に」
「そうだ。しかしだ」
「また彼は俺達の前に出て来るでしょうか」
「そうかも知れない。だが」
「だが、ですか」
「その前に破滅するかも知れないな」
彼等に再会するだ。その前にだというのだ。
「別の剣士か怪物に倒されてだ」
「そうなりますかね。あれじゃあ」
「彼は弱い。そして腰抜けだ」
「しかし自分ではそのことにですね」
「全く気付いていない」
こう看破したのだった。壬本に対して。
「それではだ。今度は完全にだ」
「死んで破滅ですか」
「そうなるだろうな。愚かさ故にな」
「本当の意味での愚か者ですか」
「俺もはじめて見た」
壬本の様なだ。そこまでの愚か者はだというのだ。
「さて、では彼についてはだ」
「これでお話を終えますか」
「そしてだ」
壬本の話を終わらせてだ。そうしてだ。
それからだ。工藤の今度の話は。
「一旦地連まで戻るか」
「そうですね。戦いのことを一佐にお話しますか」
「そうしよう。報告だ」
「ですね。その為に戻らないと」
「そしてだ」
戻ってからだ。またそれからだというのだ。
「トレーニングをするか」
「そうですね。午後の分がまだでしたし」
「俺達は生き残らないといけない」
工藤のその声が強くなった。壬本について語っていたその時とはまた別にだ。強い響きの声になってそのうえででだ。高橋に対して述べたのである。
「俺達のどちらかがだ」
「ええ。最悪でもですね」
「生き残って願いを適えないとな」
「こんな戦いは終えることを」
「これは政府の決定だけじゃないからだ」
今の政府だけではないとだ。工藤は述べた。
「あの方が最初に仰ったからな」
「そうですね。あの方が言われたことですから」
「あの方のこうしたことでのお言葉は絶対だ」
さるやんごとない方のことを思い浮かべながらだ。工藤と高橋は話していく。
そしてだ。工藤はだ。
地連部の方を見てだ。高橋に言った。
「戻るか」
「はい、それじゃあ」
こう話してだ。二人はだ。
地連に戻り一佐に報告してだ。それからだ。
またトレーニングをした。そうして身体を鍛え戦いに備えるのだった。
壬本はあの屋敷に戻っていた。そしてだ。
必死な顔と身振り手振りでだ。自分の前に座る権藤にこんなことを言っていた。
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