暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第二十五話 使い捨ての駒その十一
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「既に企業家としては名声を得ている」
「瞬く間に世界的企業にです。自分のグループをしましたね」
「そうだ。権藤グループな」
「八条グループとも取引ができるまでに」
「そこまでにしたからな。白杜コンツェルンと共にな」 
 八条グループと同じく関西を本拠地にする世界的グループだ。
「かなり有名になってきたな」
「ですね。そしてですか」
「政治家にもなろうとしている」
「それで馬鹿でもなければ」
「当選する。こいつはだ」 
 言いながらだ。その与党の議員を見た。しかしだ。
「落選する」
「こいつはですね」
「当選する方が驚く」
 そうだとだ。工藤は目を鋭くさせて述べた。
 そしてそのうえでだ。彼は高橋にこうも言った。
「普通の人間ならそもそもまた選挙に出ようとはしないがな」
「ですね。こいつ今汚職の疑惑が出てましたよね」
「汚職どころではないからな」
「ですね。北朝鮮絡みでしたね」
「北朝鮮と関わっている人間。というかだな」
「はい、総連と結託して拉致に関わっていた人間の主催する組織にでしたね」
「金を送っていた」
 そうしていたというのだ。その与党の議員、今二人が見ているポスターにいる人物はだ。
「そうしていたからな」
「それって洒落にならないスキャンダルですよね」
「アメリカで言うと連邦議員がアルカイダの工作員に金を送っていた」
 工藤は忌々しげにこの例えを出した。
「そうしたことだからな」
「アメリカじゃそんな話が出ただけで失脚ですよね」
「社会的生命が終わるな」
「完全に抹殺されますよね」
「洒落になっていない」
 そこまでのだ。とんでもない疑惑だというのだ。
「この与党の最初の首相と次の首相も含めてだ」
「ああ、あの二人もですからね」
「総連関係から金をもらっているだけでも大問題だ」
 そもそも外国人からの献金は禁止されている。この点はその二人の次の首相も同じだ。これが問題にならないのはマスコミが報道しないからだとも囁かれている。
「だが金を出しているとなるとだ」
「余計にまずいですよね」
「工作員に金を渡していた」
「しかも自国民の拉致に関わっている人間にそれは」
「洒落になっていない。この男はだ」
「日本にとって敵ですね」
「そう思っていいな」
 嫌悪、いや敵意に満ちた目でだ。工藤と高橋はポスターの男を見ていた。しかしその男は平然と笑っている。しかし今はその男から視線を外してだった。
 工藤はあらためて権藤を見てだ。こう言うのだった。
「この権藤はおそらくだ」
「ええ。権力志向ですね」
「それもかなりな」
「そうですね。実力もありますが」
「将来は何を目指しているかだな」
「やっぱり首相ですかね」
 高橋はこの地位を話に出した。
「そうで
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ