第一話 水の少年その十二
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「それにその人の強さはね」
「鬼なのね」
「本当に八段の強さはあるね」
あの元教師を一瞬で成敗したことを見てだ。それで話すのだった。
「そこまでね」
「八段?大学生で?」
「それだけの強さはあるね」
「そうなの。じゃあ全国クラスね」
「それ超えてるんじゃないかな」
全国クラスどころではない。それまでの強さだと母に話す。
「鬼だから」
「鬼ね、ここでも」
「そう、鬼神だから」
そうだとも話す彼だった。その話を聞きながらだ。
母はだ。我が子に優しい声でこう言ってきた。
「それじゃあね」
「それじゃあ?」
「食べなさい」
今度言うのはこのことだった。
「いいわね」
「ああ、晩御飯ね」
「まず食べることよ」
「強くなるにはだよね」
「食べないと死ぬのよ」
話がかなり根本的なものになる。生きているからには食べなければ死んでしまう。母が言うのはそのことからなのであった。
「そして栄養のものを食べると」
「その分身体がよくなって」
「強くなるから。いいわね」
「うん、そうだね」
その通りだとだ、上城も頷く。そうしてだった。
実際に食べはじめる。その中でだ。
「ところでさ」
「どうしたの?」
「今日の御飯何でこれなの?」
「麦飯だから?」
「そう。何で麦飯なのかな」
見ればだった。上城がお碗に入れている御飯の中には麦も入っていた。彼はそれを食べながらだ。母にそのことを尋ねたのである。
「それ聞きたいけれど」
「ああ、それね」
「何で麦飯なのかな」
「長芋あるから」
だからだというのだ。
「それをかけて食べるから麦飯にしたのよ」
「ああ、お芋あるんだ」
「すったけれど食べる?」
「卵?味噌?どっち?」
「御味噌よ」
それで長芋に味をつけたというのだ。
「それ食べるわよね」
「うん、じゃあ」
すぐにだ。彼も頷いて言う。
「それ貰うよ」
「じゃあね。冷蔵庫にあるから」
「あるなら早く言ってよ」
「御免なさい、忘れてたのよ」
「全く。ところで父さんは?」
「自分の部屋でゲームしてるわ」
自分にとって夫にあたるその彼はそうしているというのだ。
「ドラゴンクエストしてるわよ」
「ああ、あれね」
「今シナリオ4だったわね」
それだというのだ。
「それやってるわ」
「お父さん4好きだよね」
「何だかんだであれが一番みたいよ」
「それでファイナルファンタジーは6で」
そのゲームはそれだというのだ。
「随分やり込んでるね」
「それでお母さんはね」
母はどうかとだ。我が子に笑顔で話す。
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