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久遠の神話
第二十四話 七人目の影その十一

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「元気そうじゃないな。心がな」
「それは」
「ずばり言うな。悩んでるよな」 
 気さくに笑ってだ。中田は言った。
「それも戦いのことで」
「わかるんですか、そこまで」
「何となくだけどな。顔を見てな」
 それでわかるというのだ。
「上城君は表情に出るタイプみたいだな」
「表情にですか」
「ああ、今出てるよ」
 実際にそうだとだ。笑顔で話す中田だった。
「戦いについてこれからどうするか、か」
「あの、私はですね」
 ここでだ。樹里が中田に話す。
「上城君はやっぱり」
「戦いをか」
「はい、降りて欲しいって思ってます」
「前と考えが違ってるよな」
「考えが変わりました」
 そうなったとだ。樹里は中田にも話した。
「上城君に何があったらって思うと」
「まあな。それはな」
「上城君は、その」
「おっと、その先は言わないでな」
 中田は樹里が顔を赤らめさせかけたのを見てだ。すぐにだった。彼女のその言葉を一旦止めた。
 そしてそのうえでだ。こう言ったのだった。
「まあとにかく彼に死んで欲しくない」
「はい、剣士の戦いもですね」
「はっきり言って殺し合う戦いだからな」
「だからこそ。そう思って」
「だよな。俺も実際な」
 剣士としてだ。中田も話す。三人はそのまま合流して帰っている。その中でだ。
 中田は三つの徐々に長くなってきている影を見ながらだ。そして言うのだった。
「怪物なり剣士なりにな」
「何時どうなるかですね」
「ああ、やられるかわかったものじゃない」
 こう言うのだった。樹里に対して。今は上城が真ん中にいて彼から見て右手に中田が、左手に樹里がいる。中田は上城を挟んで樹里に告げたのである。
「命がけなのは確かだよ」
「ですから」
「それでそうした戦いってのはな」
 命がけの戦い、それならばだというのだ。
「迷いがあるとな」
「それがですね」
「危ないんだよ」
 このこともだ。中田は話す。
「油断とか隙になってな」
「だからですか」
「危ないんだよ。戦いってのはな」
「割り切ってですか」
「そうしてやるべきものなんだよ」
 こう上城にだ。中田は話す。
「それは言っておくな」
「ですか」
「ああ、それでな」
 中田はさらに話す。
「上城君が迷うならな」
「僕がそうなら」
「今は戦いから離れるべきだな」
 そうするべきだというのだ。
「怪物との戦いもな」
「それはどうすれば」
「避けた方がいい」
「じゃあ中田さんも」
「ああ、降りるかどうかはな」
 そのだ。戦いをだというのだ。
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