暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第二十四話 七人目の影その九
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「二刀流になることには」
「賛成はしないんだね」
「反対もしないは。というよりはね」
「それとこれとはまた別問題だね」
「そう思うわ。だから上城君は」
 そしてだ。彼はどうするべきかというのだ。
「上城君の剣道でね」
「強くなっていくべきだね」
「力はそれでどうにかなっても」
「問題はやっぱり」
 もう一つが問題だった。強くなるべきのだ。
「心よね」
「心を強くするにはどうすればいいかな」
「ううん、力は身体を鍛えればいいけれど」
 そのことについてはだ。樹里はこれでいいとした。 
 だが心についてはだ。こう言うしかできなかった。
「難しいわね。心は」
「そうだね。それが一番ね」
「難しいわね。武道は本来そういうものだけれど」
「心身を鍛えるっていってもね」
 それでもだとだ。上城も難しい顔で言う。
「それができてない人も多いんだよね」
「あの前お話してくれた先生だよね」
「そう、ある中学校で顧問だったね」
「剣道が幾ら強くても」
 樹里は上城から聞いただ。その教師のことを話した。
「とんでもない人だったわよね」
「心のない力は暴力っていうけれど」
「まさにそれよね」
「うん、それだとね」
「剣士としてもね」
 まさに忌むべきものだとだ。上城も樹里に話す。
「銀月さんが一番否定するね」
「それに他ならないから」
「だから僕はああした人にはね」
 決してだというのだ。あの教師を反面教師として話しもする上城だった。
「絶対にならないよ」
「そしてその為には心もだけれど」
 鍛えなくてはならない、そうなることだった。
「剣士として何かをするには」
「力も強くなって。心も」
「そうしないと僕は僕の目指すことを選ぶこともできない」
「ということはね」
 このことからだ。樹里はあることに気付いた。そしてだ。
 その気付いたことをだ。上城自身に言ったのだった。
「上城君はまだ戦いのスタートラインにも立っていないのよ」
「まだ。そうだったんだ」
「そう。戦いたくないよね」
「止めたいと思ってるよ」
「それでもね。そうするスタートラインにもね」
「立っていなかったんだ」
「そうなのよ。上城君はそうだったのよ」 
 このことにだ。樹里は気付いてだ。そうしてだ。
 上城の安全のことを考えてだ。こう言ったのだった。
「スタートラインに立っていないのならね」
「逃げたことにも何にもならないから」
「降りる?」
 上城の方を見てだ。彼に言った言葉だった。
「そうする?剣士の戦いは」
「そうしたら僕は」
「命を落とすこともね。悩むこともね」
「どちらからも解放されるんだ」
「そう。だからね」
 それでだというのだ。樹里は。
「今のうちに。そうしたら」
「そ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ