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戦国異伝
第六十話 四人衆帰順その十四
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た。
「だからじゃ。よいな」
「覚悟は必要ですか」
「世に出られても」
「隠棲しても何にもならぬ」
 それはもうわかっていたのだ。竹中自身もだ。
 しかしそれでもだとだ。世に出ればだ。
「色々なことがある。それは避けられぬ」
「逃げてもいられませんか」
「世に出るなら」
「そういうことじゃ。しかし時は来た」
 ならばだというのだった。
「わしはそれにあえて向かおう」
「織田家において」
「いざ、ですな」
「まさにいざ、じゃな」
 彼等の言葉もだ。受けてだった。
「わしでも心が弾むのもまた事実じゃ」
「御心がですか」
「そうなっておられますか」
「自然にな。そうなっておる」
 言いながら微笑みも見せてであった。彼もまた立ち上がった。
 美濃で何もかもが大きく動こうとしていた。そしてそれはそのままだ。天下にもつながろうとしていたのである。だがそれを知る者は今は誰も知らない。


第六十話   完


                     2011・10・2
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