暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第六十話 四人衆帰順その十四
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「よくないのう」
「よくありませんか」
「人に考えを読まれては意味がない」
 だからだというのである。
「試しにわしは斉藤龍興の考えを読んでおるな」
「はい、確かに」
「それによって策を立てておるが」
 だが、だ。それがだというのだ。
「わしが逆にそうされてはじゃ」
「危ういですな」
「そういうことじゃ。例えあの者達でもじゃ」
「御考えを読まれる訳にはいきませぬか」
「左様。とはいっても権六も牛助も鋭い」
 そういったものがなければだ。信長の家臣足り得ない。そもそもだ。
「あ奴等に読まれぬのもじゃ」
「それも将の務めですな」
「そういうことになる」
 こう話すのだった。そのうえでだった。
 信長は墨俣に向かいだ。斉藤に止めを刺そうとしていた。その戦の場となる美濃の外れにおいてだ。竹中はこう供の者達に話した。
「時が来た」
「時が?」
「といいますとやはり」
「殿は織田殿に仕えられますか」
「そうされますか」
「それを決める時が来た」
 これが彼の言うことだった。
「いよいよじゃ」
「ではやはり」
「この戦の後で」
「織田殿の御前に赴かれますか」
「そうしよう。墨俣に城を築かれた」
 竹中もだ。このことについて言及する。
「それを見て四人衆の方々は皆織田に赴かれた」
「国人や家臣の方々もですな」
「それこそ次々に」
「ここで戦になる」
 そうなることもだ。彼は既に読んでいた。
「そして織田殿は勝たれる」
「ではいよいよですか」
「美濃は完全に織田殿の手中のものとなる」
「そうなるというのですか」
「その通りじゃ。とりわけじゃ」
 竹中はさらに述べる。
「このことは天下に大きく影響する」
「豊かでしかも要地にあるこの美濃を押さえると」
「さらにですか」
「そうじゃ。そうなればじゃ」
 竹中の言葉が続く。
「織田殿は天下を手に入れられることも夢ではなくなる」
「何と、天下もですか」
「この乱れた天下を織田殿が治められる」
「そうなるというのですか」
「そうじゃ。それが今決まる」
 竹中はさらに話す。
「これからな」
「ううむ、それではです」
「殿はまことにいよいよですな」
「織田殿に仕えられるか他家か」
「それとも隠遁したままか」
「そしてその中からですか」
「織田殿に仕える」
 竹中は自らこう言い切ってみせた。
「その様にな」
「はい、それでは我等もです」
「その殿と共にです」
「織田殿にお仕えしましょう」
「頼むぞ」
 竹中はその供の者達に述べる。
「大変なのはこれからだがな」
「これからですか」
「織田殿に仕官してそれで終わりではない」
「むしろこれからですか」
「そうじゃ。まさにじゃ」
 そうだという竹中だっ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ