第二十四話 七人目の影その三
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「では。そのきな粉餅を」
「注文しますね」
「はい、是非共」
微笑みだ。答える聡美だった。
「お願いします」
「わかりました。それでは」
こうしてだった。そのきな粉餅が三つ注文された。程なくしてその丸い黄色い粉に覆われた十個程のものが運ばれてきた。聡美はその皿の上のものを見てだ。
そのうえでだ。こう言うのだった。
「これがきな粉餅ですか」
「そうです。これがです」
「こうして見てみますと」
和風の皿、そしてこれまた和風の楊枝を見ての言葉だ。
「実に日本ですね」
「日本ですか」
「それを感じます」
こう言うのだった。そのきな粉餅も見ながら。
「この黄色いものの中にですね」
「お餅があります」
「それにこの黄色も」
きな粉の黄色、その黄色はだ。ただの黄色ではなかった。
黄土色、それに近いものだった。その黄色がまただった。
「鮮やかではなく独特の色彩で」
「このきな粉の色がですね」
「詫び寂びでしょうか」
日本のその趣をだ。聡美はここで口にした。
「それでしょうか」
「きな粉餅にもそれがあるんですか」
「見たところですけれど」
聡美はきな粉餅をまだ見ている。そのうえで樹里に話すのだった。
「それを感じます」
「ううん。本当にただのきな粉餅ですけれど」
「侘び寂びは特別なものでしょうか」
「特別ですか」
「はい。限られたものだけにある様な」
「特にそうは聞いてないです」
「ではこのきな粉餅にもです」
侘び寂びがあっても当然だと。聡美は言う。
「そう思いますが」
「成程。そういうものなんですか」
「ただ思っただけですが」
しかしそれでもだというのだ。詫び寂びをきな粉餅に感じたというのだ。
そのうえで楊枝を手に取りだ。また樹里に言った。
「ではこれを」
「はい、召し上がられますね」
「どんな味がするのかですね」
「美味しいですよ」
このことには太鼓判を押す樹里だった。彼女も自分の楊枝を手にしている。人差し指と親指で手に取ってだ。そのうえで食べようとしていた。
その彼女がだ。聡美に話すのだった。
「食感もよくて」
「甘いだけでなくて」
「甘さと食感の両方を味わうものなんです」
「それがきな粉餅ですか」
「そうなんですよ。本当に美味しいですから」
にこにことして話す樹里だった。そうしてだ。
自分のきな粉餅のうちの一つをだ。楊枝に刺してだ。
それから口の中に入れてだ。にこりとして言った。
「はい、美味しいです」
「そうですか」
「聡美さんも是非」
あらためて聡美に勧めるのだった。食べたうえで。
「本当に後悔しませんから」
「そこまでのものですか」
「はい、本当に」
「わかりました」
そして聡美もだ。樹里のそ
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