第二十三話 七人目の影その十一
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「あれとかはないわよね」
「中華街はわからないがな」
「けれど殆どないわよね」
「関西ではな」
「それでね。お父さんもお母さんもこのお店にはよく来るのよ」
「豚骨だからか」
「豚骨は偉大よ」
こうまで言う彼女だった。
「カルシウムもたっぷりだしね」
「しかも美味い」
「美味いのが第一だな」
「そうそう。じゃあこれ食べて」
「それで家まで送るな」
「そろそろどうかしら」
家まで送ってもらえると聞いてだ。そのうえでだった。
彼女は広瀬に顔を向けて。ラーメンを食べながら。彼に言ってきた。
「お父さんとお母さんに会う?」
「お二人に」
「そう。どうかしら」
「いや。まだいい」
広瀬はその彼女から顔を逸らしてラーメンの方を見てだ。こう答えた。
「今はまだいい」
「会わないのね」
「早いと思う」
それでだと。理由を出しもした。
「だからいい」
「それでなのね」
「だから家まで送ればだ」
「もうそれで帰るのね」
「それでいいだろうか」
「残念だけれどね」
それでもだとだ。広瀬がそう言うのならだった。
彼女も強く言えずだ。残念な顔でこう返した。
「じゃあまた今度ね」
「その時にな」
「ええ。またね」
また言ってだった。そのうえでだ。
二人はラーメンに話を戻した。今も食べている。
かなり巨大な丼の中にこれでもかと麺ももやしもあり餃子と炒飯もある。しかしだ。
どれも凄い勢いで食べながらだ。広瀬は言った。
「やはり美味いな」
「ええ。大学のラーメンも美味しいけれど」
「ここのラーメンもいい」
「そうよね」
「どれだけでも食べられる」
こうまで言ってだった。そしてだ。
その中でだ。二人同時にだった。
「本当にな」
「そうね。私もよ」
「食べてそうしてか」
「そう。身体を動かすのよ」
「痩せたければ食べろか」
「私のダイエットでいつもそうしてるのよ」
「健康的に痩せか」
広瀬は彼女ダイエットの仕方を知っていた。それもだ。
そしてだ。彼女もこう言うのだった。
「それがいいじゃない。食べないと身体に悪いわよ」
「要は何を食べるか、か」
「そうそう、だからね」
「今も食べてそうしてか」
「もう身体は動かしてるから」
スポーツはしたというのだ。
「だからその分食べてまた明日もね」
「身体を動かすか」
「そうするわ。いつも通りね」
「それがいいな。食べないことは身体に悪い」
広瀬もそのことは確かに言う。
「食べないダイエットは下手をすると命に関わる」
「拒食症ね」
「そう。それになるからだ」
だからこそだというのだ。その話もしてだった。
二人はラーメンも餃子も炒飯もだ。全て食べ終えた。それで勘定を済ませてだ。
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