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久遠の神話
第二十三話 七人目の影その四
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 黒いものだった。それはだった。
「これは一体」
「闇だろうか」
「闇!?じゃあ」
 高橋は工藤の話を聞きながらだ。その中でだ。
 ふとだ。こう考えたのだった。
「またですか」
「そうだな。若しかするとな」
「新たな剣士ですか」
「これで七人目か」
 若しこの闇がだ。力ならばだというのだ。
「七人目が来たか」
「だとすればです」
 広瀬の足下にもその闇があった。闇は今はそこに水たまりの様にあるだけでだ。これといって動こうともしない。しかしそこにあるだけで、だった。
 三人に無言の圧力を見せていた。その圧力を目の前にしてだ。
 広瀬もだ。高橋に対してこう言ったのだった。
「この戦いはですね」
「そうだね。止むを得ない」
「中断としますか」 
 広瀬から申し出たことだった。
「ここは」
「そうしよう。そして」
 高橋が言うとだ。工藤もだ。
 その左手に剣を出した。彼の使う大地の力を持つ剣だ。
 その剣で構えつつだ。彼は高橋に言った。
「高橋君、いいな」
「はい、その相手が出て来たら」
「今度は俺が戦おう」
「工藤さんがですか」
「君は既に彼との戦いで力を使っている」
 広瀬も見てだ。そして言ったのである。
「だからだ。ここはだ」
「わかりました。それなら」
「そうさせてもらう。だが俺だけではないか」 
 その広瀬を見ればだ。彼もだった。
 剣を構えている。だが高橋を見ていない。それを見てだ。
 工藤は今度は広瀬にだ。こう言ったのだった。
「君もまた、か」
「俺が闘います」
「共闘するつもりか」
「貴方は引かれないですか」
「俺は闘うと決めた時は必ず闘う」
 広瀬に顔を向けて。そのうえでの言葉だった。
「相手が引かない限りはな」
「それは自衛官としての御言葉ですか?」
「いや、違う」
「違うのですか」
「俺個人の信条による言葉だ」
 それだというのだ。彼のものだというのだ。
「これはな」
「左様ですか」
「そうだ。もっともこうした考えだからこそ自衛隊にも入ったがな」
「海にですね」
「そして戦うからには勝つ」
 こうも言うのだった。
「必ずな」
「では引かれずに」
「戦う」
 必ず、そうするというのだった。
「ではいいな」
「わかりました。ではですね」
「君が戦うならそうするといい」
「ではその際は」
「共闘だな、今は」
「そうなりますね」
 二人共笑いはしない。しかしだ。
 確かな声で言い合いだ。そうして決めたのだった。
 そのことを決めてからだった。二人は。
 それぞれ身構えたまま周囲を見回す。相手を探してだというのは言うまでもない。
 だが、だった。気配は何処にもなくだ。
 何時しか足元の闇も消えていた。そこまで見て
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