第六十話 四人衆帰順その一
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第六十話 四人衆帰順
墨俣に城ができた。このことを見てだ。
美濃の国人達。それまで織田につくことを逡巡していた彼等はだ。その城を見てだ。
それぞれだ。判断を決めようとしていた。
「やはりな」
「あの墨俣に城が出来てはな」
「稲葉山の城も終わりじゃ」
「陥ちる」
そうなることがだ。すぐに予想できた。
「龍興様も終わりか」
「こうなってはな」
「ではじゃ」
「最早趨勢は決まった」
「我等も生きねばならん」
国人の最も大事に思うことだ。彼等には代々の守るべき土地に家の者達がいるのだ。自分自身だけでなく他の守るべきものがあるからこそだ。決めなければならなかった。
「ではじゃ」
「織田殿に従うか」
「確かに織田殿は変わった方じゃ」
このことは美濃でもよく知られていた。
「しかし尾張も伊勢もよく治めておられる」
「それに従う国人にも寛容じゃ」
「それならばじゃな」
「従うべきじゃな」
こう考えているその時にだ。その織田から誘いの文が来ればだ。最早迷うことはなかった。
それでだ。美濃の国人達は次々と織田についていった。美濃は墨俣に城ができてからだ。雪崩を打って織田の旗が立っていっていた。
それを見てだ。四人衆もだ。安藤の屋敷に集まり話をするのだった。
その中でだ。まずはだった。氏家が口を開いた。
「遂にこの時が来たな」
「どうするか決める時」
「その時がじゃな」
「そうじゃ。来たのじゃ」
氏家は眉を強くさせて稲葉と不破にも述べる。
「織田殿につくかどうするかをな」
「もう決めてはおったな」
ここで言ったのは稲葉だった。四人はそれぞれ部屋の中で車座になり向かい合って座りだ。そのうえで互いの顔を見つつ話していく。
「墨俣に城を築けばじゃ」
「織田殿につくとな」
「決めてはおった」
稲葉はこう他の三人に言う。氏家だけでなく。
「それに前の殿もじゃ」
「そうじゃ、我等に言い残しておられたな」
「ではか」
今度は氏家と不破が言うのだった。
「織田殿の家臣となるか」
「そうなるべきか」
「その通りじゃ」
ようやくだった。安藤が口を開いた。
「これでよいじゃろ」
「全ては見極められた」
「そういうことか」
「だからか」
「その通りじゃ」
安藤は三人に告げた。
「だからじゃ。我等からじゃ」
「織田殿に使者を送るか」
「それとも我等自身が行くか」
「どうするべきか」
「我等自身が行くべきじゃ」
これが安藤の言うことだった。
「そうしてそのうえでじゃ」
「わし等自身で信長殿に伝えるのじゃな」
「織田家の家臣になることを」
「そうなのじゃな」
「左様、そうするぞ」
こう言ってだった。安藤が最初
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