第二十三話 七人目の影その三
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「俺も感じます。毒が徐々にです」
「毒なら雷でも防げない筈だよ」
「木にはこうした力もあったことも知りました」
「俺もだよ。木は即ち植物だからね」
ただ木だけのことではないというのだ。高橋の力もまた。
「だからね」
「こうして毒も使える」
「そう。そしてその毒でね」
戦いを終わらせるというのだった。それが高橋の考えだった。
実際にだ。今広瀬は毒が己の中に徐々に入ってきているのを感じていた。そしてそれと共に身体が動けなくなることも感じていた。そしてそこにだった。
敗北も感じていた。しかしだった。
彼は諦めずにだ。その剣を見てだった。
一閃させた。今度は上から下に。そしてだった。
己にだ。雷を落とした。それを見てだ。
工藤がだ。眉を顰めさせて言った。
「何っ、何故己に雷を」
「わかりません。ですが」
「自暴自棄ではないな」
「はい、それでないことは確かです」
広瀬がそうしたことをする人間でないことは二人も感じ取っていた。それでだ。
その可能性は否定した。しかしだ。
彼が今何故そうしたのかはわからずにだ。二人は話すのだった。
「ですが何故今こうして」
「己に雷を落とした」
「それが全くわからないです」
「どういうつもりだ」
二人がいぶかしんでいるとだ。広瀬は。
己に雷を落としてからだ。今度はだ。
己の周りを覆わせている雷のバリアーを一気に周囲に飛ばした。それでだった。
花びら達を焦がした。それも全てだ。そうしてからだった。
彼はまだいぶかしんでいる高橋にだ。こう言ったのだった。
「守るだけでは駄目ですからね」
「花びらを消したか」
「はい、そしてです」
「何故今雷を君自身に落とした」
「理由は二つありました」
「二つ?」
「まずは気付けです」
それが第一の理由だというのだ。それがだ。
「身体が痺れてきたので」
「それで自分に雷を落として」
「はい、己の身体を奮い立たせました」
雷の衝撃でだ。そうさせたというのだ。
そしてだった。さらにだった。
「そして力も受けました」
「己に浴びせた雷の力をそうして」
「バリアーに含ませてです」
一気jに飛ばした。そうした理由もあったというのだ。
そのことを話してだった。そのうえでだ。
広瀬は再び身構えてだ。高橋に言ったのだった。
「では。いいですね」
「まだ戦うというんだね。毒はそう簡単には」
「ええ、完全には消えていません」
「はい、それはその通りです」
「けれどまだ君は」
「闘います」
そうすると言ってだ。実際にだった。
彼のその目は強かった。死んではいない。
そしてその目でだ。彼はだった。
その六本牙の剣を前に出してだ。再びだった。
高橋に向かう。
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