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戦国異伝
第五十八話 墨俣での合戦その八
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「いかん」
「そうですな。五郎左殿や牛助殿に余計な気遣いをさせています」
「わしは他人に気遣われるのは好かん」
 こうだ。佐々に対して言うのである。
「然らばじゃ」
「我等でできるだけ」
「決着をつける。よいな」
「承知、では」
「わしも前に出る」
 柴田自らだ。前に出てだというのだ。
 斉藤の軍をやぶろうとする。彼はそうして戦局を一気に決めようとしていた。
 そしてだ。その中でだ。
 前田がだ。その荒れ狂う足立を見て言った。
「御主は何じゃ!」
「わしか。わしは首取り足立じゃ」
 こうだ。男は名乗ったのである。
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