第二十一話 聡美と高代その七
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そしてその迷いのない顔でだ。また聡美に述べたのである。
「最後まで生き残ります」
「では上城君は」
「若し彼が戦うことを選び」
剣士として。そうすればだというのだ。
「私の前に来たならばです」
「戦われますか」
「はい、そうします」
こうだ。淀みのない言葉もそこにはあった。
「必ず」
「剣士としてですか」
「そうです。剣士としてです」
「戦いを止められることは」
「全く考えていません」
ここでも言葉に淀みがない。
「夢がありますから」
「それ故にですか」
「そうです。私は学園を作ろうと思っています」
こうだ。高代は聡美に話す。
見れば彼のその目はきらきらとしている。まさに少年の目だ。
夢を語るその目をだ。聡美に見せていたのだ。
そして聡美も彼のその目を見つつだ。彼の話を聞くのだった。
「八条学園以上に。素晴らしい学園を」
「学び舎としてですね」
「この学園は確かに素晴らしいです」
八条学園出身者としてもだ。彼は話すのだった。
「いじめもなく公平で明るく」
「そして自由ですね」
「それもあります。校則もしっかりとしていますし」
「しかしそれ以上のですか」
「そうです。さらに素晴らしい学校を作りたいのです」
「具体的にはどういった学校ですか?」
聡美は高代に踏み込んで尋ねた。そうしてだ。
自分のパスタを食べワインを飲みながらだ。彼の言葉を待った。
「貴方が理想とされる学園は」
「八条学園のそうした校風にです」
「明るく公平で自由であって」
「そこに海軍のものを入れたいのです」
「海軍といいますと」
「かつての我が国の海軍です」
微笑んでだ。その軍だというのだ。
「帝国海軍です」
「日本の昔の海軍についてはです」
「御存知でしょうか」
「私も聞いたことがあります」
遠くギリシアにいてもだ。そうだったというのだ。
「ギリシアの隣国トルコですが」
「確か両国の関係は」
「はい、かなり悪いです」
まさに敵対関係だ。その関係の修復はかなり困難だと言われており実際に全くと言っていい程その関係の修復は進んでいない。双方共そのつもりが殆どないからだ。
だがそのトルコのことをだ。聡美は公平に述べたのである。
「そのトルコですが」
「それでもですか」
「はい、日本はかなり人気がありまして」
ギリシアでもだ。我が国を好きな国も人も多いのだ。
「その中で海軍はです」
「評判がいいのですね」
「東郷平八郎のこともありますし」
「あの連合艦隊司令長官ですね」
「ですから海軍については聞いています」
そうだというのだ。
「それでなのですが」
「その海軍のことですね」
「かなり厳格な組織だったと聞いています」
当時の日本軍の軍
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