第五十七話 前田の怒りその七
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「食うとしよう、その鰻をな」
「では早速蒲焼にでもして」
「まつに料理させよう。ではあがるか」
「それでは」
こうしてだった。慶次は鰻を手土産にして前田の屋敷にあがったのだった。そのうえで鰻が焼けるのを待つことにしようとした。しかしだ。
ここでまた、だった。門の方からだ。声がしたのだ。
その声にまた前田が行くとだ。今度は。
佐々がいた。それに金森や前野もだ。赤母衣衆だけでなくだ。黒母衣衆の面々もいる。
その彼等がだ。明るく笑って言うのである。
「酒を持って来たぞ」
「どうも飲む場所がなくてのう」
「それで場所を貸してくれぬか」
「そうしてくれるか」
「よし、わかった」
前田はだ。彼等が見せる酒を見てだ。微笑みだ。
彼等も屋敷に入れた。それで慶次も交えて飲もうとした。ところがであった。
ここでまた、だ。門のところから声がした。それで出るとだ。
柴田と森がいた。二人はというと。
「元気か?これを食うか」
「どうじゃ?」
二人は餅を出して来た。それを見せて前田に言うのだった。
「どうも作り過ぎてのう」
「余って仕方なくてな」
「左様ですか。それでは」
前田はだ。彼等も受けてだった。
そうして家の中に入れる。そしてさらにだった。
川尻に滝川に佐久間に林兄弟に丹羽、九鬼とだ。とにかくだ。
織田家の面々がだ。次々に来てだった。前田に言うのだった。
「さあ、これを食え」
「飲め飲め」
「楽しもうぞ」
こう言ってだ。様々な食い物に酒まで持って来てだ。
前田と共に騒ぐ。その彼等を見てだ。
前田は思いだ。こう言うのだった。
「わしは果報者を」
「そう思うか」
柴田がだ。杯を手に前田に問うた。当然ながら彼も飲んでいる。
「それならばだ」
「はい、最早二度とです」
「誰もが御主を好いて期待しておるのだ」
「だからですか」
「そうじゃ。軽挙妄動は慎め」
「しかしそれがしはもう」
ここでだ。前田はだ。出仕を禁じられたことをについて話した。
「ですから」
「ふん、そう言うのはまずは功を挙げてからにせよ」
「そのうえで、ですか」
「そうじゃ。それからじゃ」
「権六殿はそう仰いますが」
「とにかく御主はこの度の戦に必ず出よ」
それはだ。絶対だというのだ。
「よいな。そうしてじゃ」
「功を挙げてですか」
「今度の戦は大きな戦になる」
それはもう決まっていた。何しろ稲葉山の喉元を手に入れるのだ。それで大きくならない筈がない。そのことは前田もよくわかっている。
そしてだ。柴田はだ。このことを今話すのだ。
「その槍を振るえ。よいな」
「さすれば」
前田もここで頷く。そうしてだった。
彼はその戦に加わることを決意したのであった。その宴
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