暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第二十話 ハヤシライスその十五
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「待ってるから」
「それじゃあ僕の方もね」
「上城君のお家にもなのね」
「うん、何時来てもいいよ」
 笑顔で述べる彼だった。そうしてだ。
 その話を受けてだ。樹里もだ。
 にこりと笑いだ。そして彼に返した。
「その時は美味しいお菓子持って来るからね」
「じゃあ僕はお茶を用意しておくから」
「ええ、その時もね」
「宜しくね」
 こうした話をして別れたのだった。この日はこれで終わりだった。
 そして次の日だ。また二人は一緒になってだ。
 そうしてだ。こんな話をするのだった。
「昨日のハヤシライスね」
「ああ、あれね」
「実はあの後お父さんにレシピ教えてもらったの」
 樹里は楽しそうに上城に話す。
「それで今度ね。私もね」
「ハヤシライス作るんだ」
「御料理は好きなの」
 樹里の趣味の一つなのだ。それもだ。
「もっともそれ以上にお洗濯好きだけれど」
「洗濯ね。確かに好きだよね」
「けれどそれでもね」
「そのハヤシライスをだね」
「作ってみるわ」
 微笑んで述べる樹里だった。そしてだ。
 上城にだ。こうも述べた。
「ただね」
「ただ?」
「隠し味で聞いたんだけれど」
「ハヤシライスの隠し味っていうと」
「赤ワインね。それだけれど」
「赤ワインがどうしたの?」
 その赤ワインについてだ。上城は樹里に尋ねた。
「やっぱりワインの種類とか?」
「そう、それが大事みたい」
「ううん、赤ワインっていっても色々だけれどね」
「その中でもハヤシライスに合う赤ワインが大事みたい」
「そういうことなんだ」
「そのワインも教えてもらったけれど」
 父のレシピにだ。それが書かれていたというのだ。
 その話からだ。樹里はこんなことを言った。
「安いワインでいいみたいなのよ」
「市販のあの料理用の?」
「そう、それ」
 そのワインでだ。いいというのだ。
 そしてだ。そのことからまた言う彼女だった。
「お父さん安くて美味しいっていうことにこだわってるじゃない」
「うん、そのことも話してたよね」
「それでなのよ。隠し味のワインもね」
「安いのでいいんだ」
「御料理は安くて美味ものでないといけない」
 こんなことも言う樹里だった。
「お父さんの信条だからね」
「それで隠し味のワインもなんだ」
「そういうことなの。それでね」
「うん、それでそのワインを使ってだね」
「ハヤシライス、作ってみるわ」
「頑張ってね」
「それで作る時はね」
 どうするか。笑顔で話す樹里だった。
「またお家に来てね」
「ええ、それじゃあね」
 こうした軽い話もしてだった。上城は樹里との時間を過ごしていた。戦いの合間の休息は今の彼にとって得難いものになっていた。まるで宝石の様に。


第二
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ