第五十六話 竹中の意地その八
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「馬も好きじゃがそちらもじゃ」
「左様ですか、お好きですか」
「好きじゃ。それで舟じゃが」
「そちらはどうでしょうか」
「興味が沸いた」
こう言うのである。
「商いに使えることは知っておったがこれは」
「これは」
「舟も用意しておくか」
こんなことも言うのだった。
「それも多くな。では二郎」
「はい」
九鬼が応えた。
「舟を集めよ」
「伊勢からもですな」
「無論じゃ。そしていざという時はだ」
「舟を使い」
「美濃を攻める」
まさにだ。そうするというのだ。
こう話してだった。信長はだ。
今のことについてはだ。こう言ったのだった。
「しかし墨俣を攻めるのはじゃ」
「それはですか」
「普通にですか」
「うむ、馬で行く」
具体的にはだ。陸を使うというのだ。
「既にあの地までの国人達はこちらにつきそうだしな」
「では手筈通りに」
柴田が言ってきた。
「攻めましょうぞ」
「権六、先陣は御主じゃ」
それは彼だというのだ。
「任せたぞ」
「はっ、畏まりました」
柴田もだ。すぐに応える。まず先陣の将が決まった。
しかし信長の命はそれに終わらずだ。さらにだった。
次にだ。前田と佐々も見てだった。
「叉左、内蔵助」
「それがし達もですな」
「先陣に」
「うむ、権六の下に入れ」
やはり柴田は別格だ。一軍の将として信長も信頼を置いている。だからこそこの二人もだ。柴田の下に入れというのである。
「よいな」
「はい、権六殿の下で暴れ回りましょう」
「斉藤の奴等に目にものを見せてやりましょうぞ」
二人もだ。戦を期待する笑みで主に応える。かくしてだ。
先陣にだ。この二人も入ることになった。しかしだ。
信長は彼等のほかにもだ。前野と原田にも声をかけてだった。
「それに喜太郎と九郎もじゃ」
「それがし達も先陣ですか」
「権六殿の下で」
「存分に武勲を挙げるがよい」
そしてだ。墨俣を攻め取れというのだ。
「そういうことじゃ」
「では。そのお言葉慎んで受けます」
「是非共」
こうしてだった。二人もだった。
先陣となった。こうして先陣は全て決まった。そのうえでだ。
今度はだ。丹羽に顔を向けてだった。
「中陣は御主じゃ」
「わかりました」
「権六の後に続け」
先陣を務めるだ。柴田にだというのだ。
「五郎八に勝三」
金森と森長可である。
「それに菊千代、太善じゃ」
「わかりました」
「では我等は中陣に」
堀に坂井が応える。こうして中陣も決まったのだった。
しかし信長は。さらにだった。
池田恒興とだ。森可成を見てだ。彼等にはこう告げたのだった。
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