第二十話 ハヤシライスその三
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高代の言う通り校舎の屋上に向かった。屋上にいるのは彼等だけで周りには青い空と白い雲しかない。草木はないが空中庭園の様であった。そしてそこでだ。
高代と向かい合う。そしてだった。
高代の方からだ。こう言ったのであった。
「まずです。今上城君と戦うことはしません」
「それはですか」
「はい、そうです」
今戦うことはしないとだ。彼は上城と樹里に述べたのである。
その彼にだ。樹里が怪訝な顔になって尋ねた。
「あの、何故ですかそれは」
「上城君は迷っていますね」
今度は上城を見て言ったのだった。
「そうですね」
「それは」
「私も教師です。生徒は常に見ています」
ここでは微笑み出した言葉だった。
「ですから」
「僕のこともわかるんですか」
「はい」
微笑みのままだ。上城に告げたのだった。
「その通りです」
「おわかりなんですか」
「上城君は素直です。ですから」
視線は上城にある。ずっとだ。
そのうえでだ。彼は言うのである。
「わかりました」
「そうなんですか」
「私は迷っている相手の手助けはします」
それはだというのだ。
「ですから」
「それでなんですか」
「私は教師です」
強い言葉だった。その立場からだ。
「ですから」
「では僕は」
「上城君は確かに剣士です」
このことも否定しなかった。そうしてだった。
上城にだ。また言ったのである。
「ですがそれでも私の生徒でもあります」
「それ故にですか」
「手助けをする相手と戦うことはしません」
毅然とした口調での言葉だった。
「それは道理に合いません」
「だからですか」
「今の上城君とは戦わないのですか」
「そうです」
高代は微笑み上城に述べていく。
「そして迷いもです」
「助けてくれるんですか、上城君を」
「私にできることなら」
そうするとだ。高代は樹里の問いに答えた。
そしてだ。彼女だけでなく上城にも言うのだった。
「最大限の努力をさせてもらいます」
「そうしてくれるのですか」
「それでどうされたいのですか?」
高代はあらためて上城に尋ねた。
「上城君は戦いについては」
「戦いを止めたいです」
それは絶対にだと述べた上城だった。
だがそれと共になのだった。彼女はだ。
そしてだ。また言ったのだった。
「ですがそれでも」
「戦うことはですか」
「怪物達と戦うことには何も思うことはありません」
それはいいというのだ。しかしだった。
剣士同士の戦いについてはだ。どうかというのだった。
「けれど。剣士同士の戦いは」
「人と人の戦いはですね」
「どうしてもできません」
少し俯いてしまっていた。そのうえでの言葉だった。
「それを止めたいと思ってい
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