第二十話 ハヤシライスその一
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久遠の神話
第二十話 ハヤシライス
高代はいつも通り学園の教師として何の問題もない生活を送っていた。しかしだ。
その彼を見ながらだ。上城は樹里に話すのだった。
「話したけれど」
「信じられないわね」
樹里は驚きの顔で彼の話に応えた。
「高代先生がそんな」
「剣士だったんだよ」
「それじゃあ上城君とも」
「うん、戦うって言ってたよ」
実際にそう言っていたことも話す上城だった。
「僕ともね」
「先生は確かにいい先生だけれど」
「剣士になっても同じだよ。けれどね」
「それでもなのね」
「剣士同士だから」
それならばだった。そこにあるものは。
「先生は僕ともね」
「戦ってそうして」
「倒してね」
そしてなのだった。
「先生の夢を適えるって」
「そうなのね。けれど上城君は」
「戦えないよ」
暗い顔で答える上城だった。
「先生ともね」
「そうよね。ましてやね」
「僕先生嫌いじゃないんだ」
こう言ってだ。さらにだった。
「いや、先生として尊敬してるよ」
「そうしてるのね」
「そう、尊敬に値する先生だよね」
「ええ、とてもね」
「だから。どうしても」
戦いたくはない、こう言うのだった。
そしてだ。彼はまた樹里に話した。
「本当にさ。僕さ」
「戦いは」
「降りようかな」
遂にだ。この言葉を出したのだった。
「剣士としての戦いを」
「そうするの」
「僕個人の目的とか夢はないし」
剣士としてだ。それはないからだともいうのだ。
だがそれと同時にだった。彼はこうも言うのだった。
「けれどそれだと」
「そうね。戦いは」
「それを止めることができなくなるかも知れないから」
「それが上城君の願いだからね」
「うん、だから」
ここでは目的、夢、願いは全く同じ意味を持つ言葉になっていた。そのことを二人もよくわかっていた。
そのうえでだ。彼はまた樹里に話した。
「ここで戦いを降りることも」
「よくないわね」
「そうも思うし」
「私個人としては」
こう前置きしてからだ。樹里は己の考えを述べた。
「理想論かも知れないけれど」
「それでもなんだね」
「戦い、こうした殺し合って望みを適える戦いってね」
「間違ってるっていうんだね」
「ええ。だから」
それでだというのだ。
「上城君の考えは」
「戦いを降りることは」
「待って欲しいの」
「もっと考えるべきなんだね」
「そう思うわ」
こうだ。自分の考えを述べたのである。
「そしてできればね」
「戦いを止めるべきなんだね」
「確かに難しいし」
それにだというのだ。
「上城君は戦いは好きじゃ
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