第一話 水の少年その五
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「俺達の目の前でその子が動きが悪いって言ってひっぱたいたんだよ」
「えっ、動きが悪いってだけでなんですか」
「生徒をひっぱたいたんですか?」
「それってちょっと」
「しかも膝で蹴ったりして」
尚且つだった。暴力をさらに振るったというのだ。
「俺達も見てびっくりしたよ」
「いや、普通そんな教師いないでしょ」
「その教師頭おかしいですよ」
「流石学校の教師ですね」
一人がこんなことを言う。彼にとっては学校の教師という人種は問題を起こすものらしい。残念だがその割合が多いかも知れない。
「そんなことするなんて」
「っていうか無茶でしょ」
「そう。しかも合同稽古で中学生、自分が教えている生徒にね」
「その生徒に?」
「今度は何したんですか」
「突きを入れてたんだよ」
それを聞いてだ。上城達は唖然となった。何故ならだ。
「あの、中学生に突きって」
「まだ身体のできてない子にですか?」
「それって滅茶苦茶危ないですよ」
「っていうかそれ常識なんじゃ」
柔道の締め技等もそうだが何故剣道で中学生に突きが禁止されているのか。まだ身体が出来上がっていない相手にそれはあまりにも危険だからだ。
しかしその教師はだ。平然としてそうしたというのだ。
「そんな常識ないのが教師ですか」
「まあ。教師らしいっていえばらしいですけれど」
「それはかなり」
「酷いんじゃ」
「そう、しかもシャベル突きっていってね」
突きの問題はまだ続いていた。今度は。
「下から上に思い切り突き上げる技があるんだけれど」
「そんな技試合で使ったら反則ですよね」
「即刻退場ですよね」
「教師が生徒に使う技じゃなくてそれって」
「リンチ技ですよね」
「そう、それも使ってね」
そうした外道と言ってもいい技をだ。生徒に平然として使ったというのだ。
「俺達にも使ったけれどね」
「稽古でそんな技使うって」
「その教師って何なんですか?」
「ヤクザじゃないですね」
「今時ヤクザでもしないだろうね」
大学生も顔を顰めさせて言う。
「そんなことはね」
「そんな教師がここに来てですか」
「稽古してたんですか」
「あんまり酷いんで俺達も怒って」
それでだと。大学生は話を進めてきた。
「言おうとしたらね」
ここで親指でだ。大学生から見て背中にいる中田を指し示す。上城達に話している為彼に対して背中を向ける形になっているのだ。
そのうえでだ。こう彼等に話すのだった。
「あいつが出て来てね」
「それでどうしたんですか?」
「まさかその教師を」
「そう、叩きのめしたんだ」
そうしたというのだ。その異常な教師をだ。
「もうね。完膚なきまでね」
「何か格好いいですね、それって」
「悪者を成敗した感じで」
「う
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